議論に強い学生はあの人に似ている 面接は勝ち負けじゃないのに

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   今回のテーマは「嫌われる学生」です。

   ちょうど、このテーマで原稿を書いていたところ、あれよあれよという間に舛添要一・東京都知事が辞職を表明してしまいました。考えてみると、彼の言動や行状、就活時に嫌われるタイプの学生ときわめてよく似ています。なぜ、嫌われるのか、その理由をまとめてみました。

「自分は正しい」だけでは

勝って何が得られるというのか
勝って何が得られるというのか

   舛添知事は、記者会見では、ときに記者に対してかなり強気に出ていました。おそらく、ディベートなら勝てるという自信がある、あるいは自分が正しいと信じ込んでいたからでしょう。その態度がより一層の反発を招き、辞職に追い込まれたのは周知のとおりです。

   さて、「舛添」学生の特徴は、知事同様議論に強い(と本人が思い込んでいる)ことです。実際にゼミ討論などで慣れている学生もいます。

   それ自体はいいのですが、問題は討論と就活におけるグループディスカッションが別ものであることを理解していない点にあります。

   討論では、自分の主張がいかに正しいかを論理的に述べ、相手を論破する必要があります。一方、グループディスカッションでは、自分の考えの展開だけでなく、他の学生とどのように協調して議論を進めているか、なども選考ポイントとなります。

   そのグループディスカッションで、舛添知事のごとく「自分は正しい」と言い張ってばかりいたらどうでしょうか。他の学生からは議論をぶち壊すプレーヤー、すなわち「クラッシャー」扱いです。選考する側も、面倒な学生と見て、選考の対象外とする企業がほとんどです。

素直になれるか

   これは、何も舛添知事のような屁理屈(中国服を着ると習字がよくできる、など)だからいけない、というのではありません。たとえ主張が正しい内容だったとしても、評価されません。むしろ、「正しい内容なのにそれを他の学生に伝えられなかった」とマイナスにすら見られてしまいます。

   海外出張でのファーストクラス利用、公務以外での公用車の使用、家族旅行への政治資金流用疑惑など、いずれも「辞めなければならないほど大きな話か」といえば、意見の分かれるところです。私個人としては、そこまで大きな話とは思えません。もちろん、知事の振る舞いとしては不適当でした。それが記者会見などで指摘されたとき、素直にその非を認めて早いうちに謝罪していれば、辞職にまでは追い込まれなかっただろうとする記事が多数ありました。

   これは「舛添」学生も同じです。

   面接で、学生の考え方の甘さや間違いなどを指摘する面接担当者がいます。特に中盤から終盤にかけては、個人面接などが増えて、学生一人にかける時間が増えてきます。しかも、面接を担当するのが部長クラス、役員クラスと上がっていき、社会経験も豊富。 どうしても、学生のアラが見えてしまいます。

   ここで、素直な学生であれば、「私の不勉強でした」などと自分の不足を認め、その指摘を受け入れて引き下がります。ところが、「舛添」学生は、討論に持ち込んでしまいます。

「いや、そうおっしゃいますが、私の研究では......」
「ご指摘のようなこともあるかもしれないですが、でも......」

   こうなると、もはや面接どころではありません。この「討論」に勝ったところで、得るのは選考不合格の通知のみです。

先延ばしも見習うまい

   舛添知事は、「第三者に」を連発して記者の質問に答えず、そうした回答を先延ばしにする姿勢にも批判が集中しました。このことも「舛添」学生に通じる部分があります。

   本稿が配信されるころには、内定がぼちぼち出そろい、どの社の内定を受けるか、断るか、学生の悩みどころになっているはずです。人生の大きな決断ですから、悩むのは無理ない話。しかし、あまりに悩みすぎるのは、企業から見てどうでしょうか。

「結論を出せない優柔不断な学生。入社しても何かにつけ悩むばかりで決断できず、ビジネスに向かないだろう」

と、内定を出しておきながら、ぜひ来てほしいという期待感が一気にしぼんでしまいます。悩んだあげくに入社意思を示しても、「ああ、そう」と、醒めた反応しかありません。

   もっとひどい「舛添」学生になると、企業側が決めたタイムリミットを守りません。

   企業側は、内定を出した学生が悩むのも織り込みずみ。内定学生に次々逃げられると、場合によっては追加募集をかける必要が出てきます。そこで、「×月×日までに、内定を受けるか、断るか、それとも保留か。結論は出さなくてもいいから、その時点での心境を知らせてくれる?」と、タイムリミットを定めます。

   一番いいのは、内定を受けることですし、その次が辞退。保留でも、指定の日に連絡すればいいのですが、最悪な「舛添」学生は、連絡をすっぽかします。こうなると、どんなにいい学生でも、採用担当者はかばいきれません。

   タイムリミットは、学生・採用担当者双方のためにあるだけではありません。採用担当者が上司・役員に報告する期限としても存在しています。それが「連絡なし」となると、

「最低限の約束を守れない学生など、ビジネスで通用するわけがない」

と、上は間違いなく言い出します。悩むことだけに忙しかった、問題先延ばしの「舛添」学生だけが損をする、という寸法です。

   本人に悪気がなくても、叩かれて、結果、大きな損をする。これが「舛添」学生の特徴です。皆さんはそうならないよう、ご注意を。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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