2024年 5月 10日 (金)

インターンシップ中に現場でひやり けがしたら治療費もらえる?

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会社の指揮命令下で働いているか

   研修中に労災保険の適用が認められるためには、(1)研修生に支払われる賃金が一般の労働者並みの賃金であり、少なくとも最低賃金法の規定を上回っていること、(2)実際の研修内容が、本来業務の遂行を含む研修期間中であり、(3)それらが使用者の指揮命令の下に契約上の義務として支払われているものであることが必要で、実際は、実態から判断されます。

   簡単に言うと、一種の短期アルバイトのような、一時的にせよ会社の指揮命令下で働く場合は労働者に当たると考えられ、一方、賃金を支払うほどの労働の実体がなく、単に職場見学や職場体験程度であれば、労働関係にはなく、労働者とみなされないと考えられます。

   相談者はインターンシップに参加し、倉庫内を見学していたということですので、単なる職場見学のような扱いに近いと思われますので、労災は認定されない可能性が高いでしょう。

   まとめますと、インターンシップ中のけがについては、学生が労働者と認められれば労災からの補償が受けられますが、労働者と認められなければ、民事上の請求しかできないことになります。万一の事故に備え、事前に学生教育研究災害傷害保険(任意加入)への加入を検討されたり、インターンシップに行く会社が任意の傷害保険に加入しているかをチェックされてはいかがでしょうか。

ポイント2点

●会社に治療費を請求する場合、けがの原因が会社側の過失があったことを立証しなければならないが、そのハードルは高い。

●短期バイトのように、会社の指揮命令下で働く場合は労働者に当たると考えられるが、単に職場見学や職場体験程度であれば、労働者と見なされないと考えられるため、労災は認定されない可能性が高い。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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