会社が好調なときに量を取るか質を取るか 経営者の哲学が問われる

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その時どきに最良の判断を

   このアンケートに合わせて、非長寿企業11社の経営者にもインタビューをしましたが、長寿企業のアンケート結果に当てはめると、2社程度は売り上げ重視、3社はわからない、6社程度は品質重視と答えそうなものですが、実は11社すべての経営者が品質重視と答えました。さて、この回答はそのまま受け止めてもよいのでしょうか。いささか......。

   筆者も日々、経営の現場に立っているので、重要な経営判断を要する場面がたびたびに訪れます。その時にはできるだけ詳細で正確な情報、情勢を知るために、自ら現場の社員にヒアリングしたり、顧客の声に耳を傾けたりするようにしています。

   それでも判断に迷うことはあります。情報を集めても十分に全体の情勢が把握できない場合は、自らリスクをとって、経営者の判断で決めるしかありません。それぐらい迷いに迷うということです。

   おそらく、どちらとも言えない、と答えた経営者は、その時どきに最良の判断をしたいがために、情勢を見極めてから決断するという意味でしょう。

   そういう姿勢なら品質にも、売り上げにも傾く可能性があります。よって、この33%を半分に分けて両方に振り分けると、品質重視は67%となり、3分の2が品質重視を選ぶ、という仮説が成り立ちます。このあたりが経営の時間軸が長い、長寿企業ならではの考え方ではないかと推測されます。

   目標の売り上げを目指しつつ、品質の維持・向上から目を離さない、という心構えが、長寿企業には備わっています。あなたが、いまお勤めの会社と長くつきあっていこうと考えているなら、商品やサービスの品質を重視する視点は失わないでいただきたいと思います。(浅田厚志)

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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