課長ポスト断って逆にヒラ降格 介護が理由でも処分は適法か

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公務員にはある希望降任制度

   なお、一部の公務員には、希望降任制度という、自らの希望で役職を辞することができる制度があります。これは本人の意向を尊重し、個人の能力と意欲に応じた人事管理のためとされています。

   もっとも、民間の企業でこのような制度を採用しているところは、現在のところ、ほとんどありません。したがって、自らの意思だけで平社員に戻ることはできませんが、会社と協議をして会社が認めてくれれば平社員に戻ることはできます。

   いずれにせよ、個々人の事情があるのですから、会社が昇進を断ったことを理由に降格させるのは不適切ですね。会社には、どういう場合にどのような人事異動ができるかについてもう少し勉強してもらいたいものです。もしも先輩が降格に不満を持っているのであれば、きちんと会社に抗議すること、場合によっては頼れる専門家に相談するなどの解決策がありますので、相談者からもアドバイスしてあげてくださいね。

ポイント2点
●会社は、入社時の契約により原則として従業員に対し人事権を有するため、その育成や業務の効率化のために、各従業員の能力や適性に応じた職務に就かせることができる
●やむを得ない事情がある場合は、降格させることは相当な扱いとはいえない

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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弁護士法人アディーレ法律事務所 篠田恵里香


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