日本の子育て世代が頭を痛める待機児童問題。朝日新聞の2016年9月2日付記事によると、2016年4月1日時点の待機児童数は前年比より386人増え2万3553人となった(厚生労働省調査)。ただし、このなかに「自治体が補助する認可外施設に入った」「保育所に入れず育休を延長した」といった「隠れ待機児童」の数は含まれておらず、その数は6万7354人にのぼる。メリット・デメリットあるが2人分、予約できますか待機児童の解消に向け、厚生労働省は「平成29年度厚生労働省予算概算要求の主要施策」において「0歳時期の育児休業終了後の『入園予約制』の導入を支援する」としている。入園予約制のメリットとしては、・年度途中からの入園が可能になる(現在は4月入園がほとんど。母親は入園にあわせて育休を途中で切り上げるため、0歳児の待機児童が多い)・早い時期に保育所が決まることで安心して子育てできるなどが挙げられるが、実現にはハードルが高そうだ。問題点としては、・そもそも保育園の数が足りないのに、予約制が導入できるのか・予約枠を設けると、実際に児童が通っていない期間が生まれ、その間他の児童を受け入れられない・予約を先着順にすると、シングルマザーや共働き家庭など、深刻度の高い家庭が入園できない「逆転現象」が起きる可能性があるといった点が挙げられている。ツイッターを見てみると、当のワーキングマザーたちには、歓迎よりも冷ややかな口ぶりが目立った。「そもそも保育園数が足りないんだから予約も意味ない」「細かい調整に付け焼き刃の頭とお金使ってぽく見せるより認可保育園をもっと作りやすくしてくれよ」「予約制、品川区がやってるけど枠もめっちゃ少ないし、レアチケットよ」「認可保育園予約制は素敵な仕組みなんだけど、現状品川区は予約枠少なくて結局0歳保活が必要」「保育園の入園予約制導入ねぇ。これも育休取れるような人にしか関係ない話だな。一度仕事やめたら仕事決まらないと保育園入れず保育園決まらないと仕事採用されない問題は全然考えてもらえないんだな」「保育園落ちた日本死ね」の書き込みで「保活」がいかに困難か、その深刻度が浮き彫りとなったが、なかには保活に有利な「0歳4月」の入園に間に合わせるため、帝王切開で出産を1か月早めた母親もいたという(「AERA」2016年8月29日号)。少子化に歯止めをかけるには、安心して子育てできる環境を整えることが何よりの基本施策。待機児童・隠れ待機児童ともにゼロとなるよう、社会をあげて前向きに取り組むべきだ。(KM)
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