先哲の知恵と言葉をちりばめ 組織で働く人びとに「エール」
【気になる本の散歩道】

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『働き方という病 組織で生き抜く武器はあるか』(江上剛、徳間書店、税別1200円)

   J-CAST会社ウォッチの人気コラム「カイシャ背負い投げ」でおなじみの作家江上剛さんが書き下ろした、会社など組織で働く人への「エール」。

   「伸び悩む部下を伸ばすには?」「上司とそりが合わなかったら?」など46の問いに、孔子、老子らの言葉を織り交ぜながら回答を試みる。快刀乱麻を断つの如くではなく、自らの銀行員経験を踏まえ、うんうん唸りながら知恵を絞りだそうとするかのような誠実な筆致に、読み進めて「なるほど」と頷かされる。

「君子は多ならんや。多ならず」

2016年11月24日発売
2016年11月24日発売

   たとえば「生意気な部下、扱いづらい部下にはどう対処するか?」という問いに、まず江上さんは、「実は、私は生意気で扱いづらい部下だった」と告白する。その「KYな」行員は、降って湧いた組織存亡の危機に頭取、会長、相談役など歴代トップに辞任を迫るなど「いったい何様なのかと陰口を叩かれ」るほどの「不遜な部下」に育つのだが、なぜ潰されることなくそういう発言力をもつに至ったのかといえば、「あいつの個性を殺すな」と助ける人が必ずいたからだという。

   そして孔子の「君子は多ならんや。多ならず」という言葉を引く。

「私のようにKYで空気は読めず、気がきかない部下もいる。しかし孔子は、本当に優秀で役に立つ部下は『君子は多ならんや。多ならず』となにも多才である必要はないというのだ。嬉しいね」

   即効性ある解決法をねだるような設問に、この悠々たる答え。まさに愚問賢答ではないか。人間関係にまつわる諸問題にマニュアルで対応しきれるはずがない。逆にいえば、いくら社会が変わり働き方が多様化したところで、人と人の間に生じるぎくしゃくの解消には、2500年前の先哲の知恵が有効ということだろう。

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