2024年 4月 25日 (木)

なぜ住宅ローンを嫌がるのか 妻を喜ばせたいと思わないか(江上剛)

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将来に不安を抱いているのなら

   ところで銀行のローンの仕組みは、サラリーマンが右肩上がりの出世、給料を前提に組まれている。しかし今の世の中、何があるか分からない。リストラあり、吸収合併ありで、あなたもいつ首になるか分からない。

   そんな時、ローンがあれば大変だ。順調に転職できればいいが、そうでなければ生活はたちまちローン返済で困窮してしまう。

   私の知人は、外国育ちのせいか、

「どうして日本人はローンを組んでまで自分の家を持ちたがるのか。借家でいいじゃないか。気に入らなければ引っ越しできるんだよ。収入が減れば、狭くしてもいい。自由自在だ」

と言う。もし心配なら、彼のように借家住まいの哲学で妻を説得するのもいい。しかし納得してくれないだろうな。

   あなたは会社を辞められなくなると言っているが、実は、会社の将来に不安を抱いているんじゃないのか。もしそうなら妻とじっくり将来設計について話し合ったらどうだろうか。

   妻は、私もがんばるからと言ってくれるかもしれない。そうなればあなたの不安をきっかけに夫婦の絆が深まるってこともある。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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