首都圏を走る電車に「イスなし車両」があるのをご存知ない方も、すでに少なからずいることだろう。ラッシュの時間帯に座席がたたまれて立ち乗り専用となる車両で、通常1両4つのドア数が6つという特徴もある。「輸送効率アップ」を目指しバブル期に導入された、この「労働者輸送車両」も、2020年までに姿を消すという。日々ラッシュの中通勤しているビジネスパーソンたちの胸中をよぎる感慨は――。「混雑が緩和されたので」「イスなし車両廃止」を報じたのは、読売新聞(2017年2月3日付夕刊)だ。1990年に混雑緩和のためJR山手線で初めて導入され、他のJR路線や私鉄でも使用されるようになった。しかし相次ぐ新線の開通などで混雑が緩和されたことや、設置が進むホームドアの規格に合わないことなどから次々に廃止され、現在なお首都圏で運行している東急田園都市線は17年5月に、JR中央・総武線も20年春までに使用を終了するという。導入当初「乗客を荷物扱いするのか」といった批判も多かったイスなし車両。今回の報道を受け、ツイッターでは、「空いてるのにイスなかった時はつらかった」「特にラッシュアワーでもない日中でも3人がけで座りにくいし、如何せん他の車両の座席にくらべても座り心地良くないからこの車両だけは避けてました」「もともと、こんなことでごまかしてきたことが間違っていた!みんなが座れるように考えるべきでしょう」など、冷淡な受け止め方が見受けられる。「乗りやすい」「チビには便利」その一方、「イスなし」にいささかなりとも「恩恵」を感じていた人が少なくないことも分かる。「えー!私は、朝の超混んでる時はこの車両の方が乗りやすいのになぁ。残念」「込んでいるときはむしろこの『椅子無し』の車両の方が有り難かったなぁとは思っているのだけど。座っている人の膝に当たる感触は互いに気まずかった。ある意味『平等』だったわけだし」「混雑緩和しているとはいえ、行きも帰りも座れないので、こういう車両は各編成に一両残ってても良いと思うんだけどな...」など、名残を惜しむ声も。まだまだ「緩和されない」不快な混雑を経験しているビジネスパーソンらにとっては、少しでもスペースが広くなる車両は現状でもありがたいものらしい。「真ん中にある掴まる棒がチビな自分には便利だったんだけど......」という有用さもあったようだ。記事にある「混雑が改善された」を全く実感できていないという声も根強くある。ホームドアの設置が急務なのはもちろんだが、さらなる混雑軽減策もあきらめてほしくないところだ。(MM)
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