英語を侮るなかれ 「とりあえず日常会話」はダメ!(11)

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   先日、40代のビジネスマンから「僕も、英会話学校に通ってみようかな」と相談を受けました。ニューヨークタイムズや海外ニュースを英語で読むために、「とりあえず日常英会話から始めよう」と思ったとか。

   「ちょっと待った!」 私は思わず叫んでしまいました。

  • 「とりあえず!」は続かない……
    「とりあえず!」は続かない……

「日常英会話」のワナ

   じつは、この「とりあえず日常英会話」こそ、私がはまった「落とし穴」だったのです。

   まずは私とビジネスマン氏の遣り取りを。

―― それにしてもなぜ、英語をやり直したいと思ったのですか? 

と、私。

―― 今さら恥ずかしいけど、ニューヨークタイムズや海外ニュースを英語で読めるようになりたくて。トランプ米大統領のニュースや政治の話題を、現地のメディアがどう報じているか興味が湧きました。最近、世界のニュースがおもしろいじゃないですか!

と、ビジネスマンは言います。

―― 確かに、海外ニュースはホットですよね。でも、どうして英会話学校なのですか?

―― 僕、英語が大の苦手で...... 初心者だから、とりあえず日常会話から始めるべきですよね?

―― いえ、「日常会話」は意外と難しいですよ。侮ってはいけません!

―― えっ、そうなの?「日常会話」って英語の初歩じゃないの?

   そうなんです。「とりあえず日常会話から始める」は、初心者の方がはまりやすい落とし穴なのです。

   「日常会話は簡単」と思いがちですが、実際は奥が深い。範囲が膨大で、いくら覚えてもキリがありません。

   また、日常会話で使われるブロークンな言い回しや口語体の英語は、海外経験がある人や、外国人と話す機会が多い人以外はなじみがありません。テキストに載っている英語とはちょっと違います。

   結局、「相手が何を言っているのかわからない」→「会話が続かない」→「自己嫌悪を感じる」という負のスパイラルに陥りかねません。

   みなさんも「あんなに勉強したのに会話が続かない」と、落ち込んだ経験はありませんか?

英語を使うときをイメージ、どのスキルが必要なの?

   私も「とりあえず日常会話から」に執着しすぎて失敗をした一人です。じつは、日常会話に比べたら、ニュース英語のほうが書き言葉に近くてわかりやすく、「初心者向き」なのです。

   私は今でも「日常会話」は苦手。ニュースは字幕なしでOKですが、海外ドラマの会話はよくわかりません。

   私は40代で英語をやり直した時、「日常会話」からいったん離れる選択をしました。そして、私にとって、「どんな場面で英語が必要か」を具体的にリストアップしてみました。

・日々の生活で英語を「話す」ことはほとんどない
・電話やミーティングで英語を「話す」機会は少ない
・新聞やラジオで海外ニュースを知るために「読む」「聞く」スキルが必要
・海外や外国人とのビジネスは英文メールが中心。メールを「書く」「読む」スキルが必要
・英文の書類やビジネスレターを「書く」「読む」スキルが必要
・英語で書かれた専門書を「読む」スキルが必要

   このリストに、正直、私は力が抜けてしまいました。なぜなら、「話す」スキルの優先順位がこれほどまでに低いのか、と思い知らされたからです。

   「とりあえず日常会話から」の先入観にとらわれるあまり、あまり必要のない英会話にエネルギーを費やして、本当に必要な「読む」「聞く」「書く」を疎かにしていたのです。

   優先順位を、完全に間違えていました。

「いつかは役に立つだろう」では、続かない!

   「日常会話」を断捨離したあとは、TOEICを利用して「読む」「聞く」にエネルギーを集中。効率がグンと上がったことはこれまで紹介してきたとおりです。

   みなさんも、「英語を学ぶなら日常会話から」と思い込んでいませんか?

 

   英会話学校に申し込んだり、ラジオ講座のテキストを購入したりする前に、ちょっと立ち止まってみて下さい。

   今、あなたにとって「日常英会話」って必要でしょうか?

   もちろん、英語を話せるにこしたことはありません。でも、「いつかは役に立つだろう」とか、「旅行に行ったときに使うかもしれない」といった動機で、英語の勉強を続ける自信があるでしょうか?

   日本語もそうですが、話し言葉と書き言葉は異なります。ふだんの生活で使う言い回しは、ニュースではお目にかかりませんし、仕事でもあまり使いません。

   冒頭のビジネスマンのように、「海外ニュースの英語を読めるようになりたい」と目的がハッキリしているのなら、英会話学校に通ってあいさつの仕方から学ぶより、実際に新聞記事やニュースに接するほうが近道です。

   英語のやり直しは、あなたにとって「必要な英語」を絞りこむことから始まります。くどいようですが、ムダを捨てて本当に必要なことだけを残しましょう。「日常会話」が「英語をマスターする第一歩」ではありません。

   日常的に英語で話す機会がある方以外は、40代での再チャレンジに「とりあえず日常英会話」を選ばないほうが得策だと思います。(井津川倫子)

今週のニュースな英語
~ 「上がる」「下がる」、学べる「ニューヨーク市場」ウォッチ ~

私は株式投資をやっていません。しかし、米ニューヨーク株式市場だけはウォッチしています。日々刻々と動くマーケットの状況から、世界の動きが読めること、意外にもシンプルな単語が多いので英語を理解しやすいこと、がその理由です。
下記の基本動詞に注目するだけでも意味がわかりますから、「ニューヨーク市場ウォッチ」は、初心者の方にもオススメの英語学習法です。たとえば......
「rise」(上がる)
Average hourly earnings rose by 2.5%(平均時給が2.5%上がった)
「drop」 (下がる)
Unemployment rate dropped to 4.4%(失業率が4.4%に下がった)
「hit(達する)」
The euro hit a six-month high(ユーロが6か月ぶりの高値に達した)
このほか、「up」(上がる)「surge」(急上昇する)「fall」(落ちる)「plunge」(急落する)もよく出てきますので、覚えておくと役に立ちますよ。
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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。TOEIC(R)L&Rテストの最新スコア970点。これまで英検、TOEIC、TOEFL、IELTSをすべて受験し、GMATにも挑戦。30年近く仕事をしながら英語を学び、海外駐在員として滞在したロンドンでは、イギリス式の英語学習法も体験した。「いくつになっても英語は上達できる」をモットーに、40代での英語やり直しを提唱している。現役ビジネスパーソンならではの実践的なアドバイスが「役に立つ」と人気。
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