「現金用意しといてやぁ」にビビる これは関西のタクシー運転手の洗礼なのか!?

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   この夏、友人がいる京都や大阪をたびたび訪れた。そこで驚いたのが「タクシーの運転手さんが怖い」ことである。

   学生時代は京都に6年もいたが、タクシーを利用する機会はほとんどなかった。大人になって初めて受けた「関西タクシー運転手の洗礼」とはいかなるものか。

  • 東京のタクシー運転手は優しいかも?
    東京のタクシー運転手は優しいかも?

「死にたいんかゴルァ!!」

   京都を訪れたとき、ホテルまで重い荷物を持って満員のバスに乗る元気がなかったので、タクシーを使った。

「すみません、○○ホテルまでお願いします。トランクに荷物を乗せてもらえますか」

   運転手さんは無言で私のキャリーケースをトランクに収納し、「今日は駅前がえらい混んでますなぁ。裏道から行きますわ」と、1本北の通りへ入った。

   そこまではよかったが、その裏道がまた混んでいる。挙句の果てには、バイクがタクシーの目の前にヒュッと出てきた。運転手さんはブレーキを踏み、次の瞬間

「あっぶないなぁ、死にたいんかゴルァ!!」

と悪態をついたのである。

   ひぃぃぃ! 私は怖気づき、ただただ押し黙ることにした。何か話しかけようものなら私まで「死にたいんかゴルァ」と言われてしまうかもしれない(杞憂だが)。こっ、怖い。

   無事にホテルに着くと、「890円になりますぅ~」と運転手さん。

「あの...... カードでお支払できますか?」と私。

   それを聞くやいなや、運転手さんはムスッとした顔をして、

「ああ、できるだけ現金のほうがありがたいですわ」

   ひぃぃぃ! すっ、すみません...... と私はカバンの中から小銭入れを取り出し、ゴソゴソとみっともなくお金を払った。

   翌日も、ホテルから駅まで急いでいたのでタクシーに乗ったのだが、運転手さんに「京都駅の烏丸口までお願いします」と告げ、しばらく走って駅が見えてきた途端、

「お客さん、駅前はすぐ降りなあかんから、780円ちょうど現金用意しといてくださいねぇ」

   あぁ、小銭があってよかった。ここでもし1000円札しかなかったら、運転手さんはものすごく機嫌を悪くしていただろう。わが小銭の存在に、ホッと胸をなでおろしたのは言うまでもない。

「カードの機械の中におっちゃんがおったらええのに」

 

   ただ、大阪滞在中、最後に乗ったタクシー運転手さんはちょっと違った。

   私が「あのぉ......カードでお支払したいのですが」と控えめに申し出ると、運転手さんは「カード決済は2分ほどかかってしまうんやけど」という。

   「構いません。むしろお手数をおかけしてごめんなさい」と私。すると運転手さんは、自分が務めるタクシー会社の不満をとうとうと述べはじめた。

「うちの会社も、2020年までに最新のカード機械を全車導入するゆうてるんですけどね、こんな古い機械やとどうにもなりませんねや。カード通しても一発では認識されへんから、紙を1枚重ねて通すこともあってね」
「しかも偽物のカードや~ゆう疑いが出たら、本社に電話で確認せなあかんのですわ。これがまた手間でしてねぇ」

   そうですか。それは大変ですねぇと聞いていると、

「それで、お客さんは『急いでんのに』って怒らはるでしょう。ほんまにね、このカードの機械の中におっさんでもおって、上手いこと処理してくれたらええのに思いますわ(笑)」

   お、面白い......!この運転手さん、めっちゃおもろいやん! 

   興奮した私は思わず、「そうですねぇ。カードを読み取るおっさんがおって、仕事してくれたらいいですねぇ」とノッてしまった。

   東京で、こんなギャグを言って笑わせてくれる運転手さんはまれだ。関西のタクシーは基本的に「ちょっと怖い」と思っていたが、現金払いならニコニコ受け付けてくれるし、たまにこうしてひと笑くれるから、結構好きかもしれない。(北条かや)

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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