その28 喪中はがき 「こんなものいらない!?」

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   郵便局に行くと、もう「喪中はがき」の印刷を呼びかけている。

   「お世話になった方々へ早めのご準備を」「〇月〇日お申し込み分まで15%割引」などとうたったカタログが積んである。

  • 昨年、僕が受け取った喪中はがき。どれもこれも「形式的」だった。
    昨年、僕が受け取った喪中はがき。どれもこれも「形式的」だった。

悲しみが伝わってこない

   郵便局に置いてあるカタログには、喪中はがきの見本が30ほども載っている。ただし、書き出しは「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます」「喪中につき新年のご挨拶を失礼させていただきます」などと、ほとんど同じである。

   そして、「祖父 郵便局一郎が八月十二日に〇〇歳で永眠いたしました」のあとに、次のような、おおむね4パターンの文が続く。

「平素のご芳情を厚くお礼申し上げますとともに みなさまに良い年が訪れますようお祈りいたします」
「生前に賜りましたご厚情に心から御礼申し上げます 明年も倍旧のご交誼をお願い申し上げます」
「新年のご祝詞を申し上げるべきでございますが 喪中につき勝手ながら欠礼させていただきます 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます」
「寒さに向かう折からご自愛のほどお祈りいたします」

   もちろん、こんな見本にとらわれず、どんな文面の喪中はがきを出そうと自由である。だが、僕が毎年受け取る喪中はがきは、大部分が郵便局の見本と同じで、読んでいて、胸に響いてくるものがない。

   それは故人の生前を知らない場合がほとんどであることも影響している。郵便局の見本に沿って言えば、祖父郵便局一郎さんの死を差出人の孫たちがどんなに悲しんでいようと、喪中はがきを受け取った人が彼の生前を知らなければ、それは伝わってこない。

   そこで、たとえば、「祖父は郵便配達を自分の天職だと言っておりました」とか、あるいは「亡くなる前は長く病床に伏していましたが、笑顔を絶やしませんでした」とかいった話が添えてあれば、随分と違う。だが、そんなことはめったにない。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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