コーヒーに紅茶、ワイン、ウイスキー......世の中に嗜好品は数多くあれども、「煙草」ほど好き嫌いの分かれるものはないのではないか――。愛煙派と嫌煙派で、議論がヒートアップすることもめずらしくない。そうしたなか、新たな火種となるかもしれない調査結果が、帝国データバンクから発表された。奨励一時金で禁煙を支援する企業も帝国データバンクが2017年10月16日発表した「企業における喫煙に関する意識調査」(9月15~30日実施。有効回答企業数1万212社、回答率43.8%)によると、「全面禁煙」を実施している企業は全体の22.1%だった。適切な換気がされている喫煙場所や屋外に喫煙場所がある「完全分煙」は56.2%、「不完全分煙」は10%、「時間制分煙」が3.4%と、受動喫煙防止などのため、なんらかの「分煙」措置を敷いている企業は91.7%にのぼった。「特に喫煙制限は設けていない」は7.3%、「わからない」も1%あった。「全面禁煙」を業界別にみると、「不動産」が最も高く44.1%。次いで「金融」の38.2%、「サービス」33.2%、「卸売」27.2%、「小売り」21.9%と続く。また、「建設」は18.3%、「運輸・倉庫」が14%、「製造」11.7%、「農・林・水産」11.3%。業界によって、取り組みに差があることもわかった。規模別にみると、規模の小さい企業ほど「全面禁煙」を実施している割合が高く、「小規模企業」(31.4%)が「大企業」(17.2%)を14.2ポイント上回った。アンケートとともに企業から寄せられた声には、「喫煙者の人数減少により、全面禁煙を実施。時代の流れだと考えている」(北海道の水産食料品製造)など、「時代の趨勢」と受けとめている声や、「禁煙奨励一時金支給や非喫煙者手当を導入し、禁煙を促進している」(埼玉県の事業者向け貸金業)と、禁煙を後押しする取り組みを進めている企業の声もあった。禁煙効果「職場内がきれいになった」がダントツ!また、喫煙制限を設けている9368社の企業に対して、「どのような影響が現れたか」聞いたところ、トップは61.2%で「職場内がきれいになった」が突出。次いで、「安全面が向上した(火事のリスク低減など)」の34.3%、「喫煙車と非喫煙者の公平性が向上した(業務中のたばこ休憩など)」の22.7%、「業務の改善・効率化につながった」の11.5%が上位にあがり、おおむねプラスの効果が出ているようだ。「従業員のコミュニケーションが活発化した」(6.1%)、「時間当たりの生産性が向上した」(5.2%)、「費用負担が増加した(喫煙室の設備設置費など)」(4.6%)、「費用負担が減少した(喫煙室の維持費など)」(2.5%)といった影響や、「採用活動等で有利に働いた」との効果も2.1%あった。その一方で、「喫煙者からの不満が増えた(集中できないなど)」(6.8%)との影響もみられた。「その他」は13%だった。さらに「今後、法令等で公共施設の全面禁煙が実施された場合、業績に影響があるか」との問いには、「影響はない」が69.3%。「プラスの影響がある」は8%、「マイナスの影響がある」も7.9%あった。「わからない」は14.9%だった。ツイッターで「禁煙」についての反応をみると、嫌煙派からは、「このシワ寄せで駅前とか店前、通路や路上での喫煙が増えてたら意味無いんだけどね?」「新規オープンのラーメン屋にきてみた。入ったら客は誰もいないんだが酷いヤニ臭が。店長が控室みたいなとこで吸ってたっぽい。完全禁煙って書いてあったんだけどね。これじゃあ美味くても、もう来ね」「マジで公共施設では完全禁煙にしてくんないかな?分煙にしても、結局煙が流れてきたらまったく意味ないし!!」「禁煙席は超満員で喫煙席はガラガラのお店を見ます。禁煙席が超満員のときには、あきらめて帰る人が多くいるので、分煙は売り上げを下げます。完全禁煙がベストです」といった声があがっていた。一方、喫煙派からは「吸わせろ~!!」「喫煙者からたくさん税金で持って行ってるんだから、隔離の小さいスペースでいいから喫煙所設けてくれてもいいんじゃないかな~。堂々と吸わせろ!なんて横暴は言いませんから」「煙草くらい好きに吸わせろよ。マナー守ってんだからさ......」と、ため息まじりの声が数多く見つかった。(KM)
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