自動ブレーキは急な人や自転車の飛び出しには弱い
こうした事故が相次いでいるため、国民生活センターではインターネットで19~79歳の「ハイテクカー」の所有者2000人に、「想定外の出来事」があったかどうか聞いた。
すると、「急加速した」「急停止した」「減速・加速しなかった」「他車にぶつかりそうになった」「車線を逸脱した」などのヒヤリとした経験がある人が25%、4人に1人もいた。さらに、そのうちの25%がクルマを損傷した。
「運転する際の注意事項を理解しているか」聞くと、「理解している人」が83%、「理解していない人」は17%だった。購入時にちゃんと説明を聞かず、使用説明書も読まない人が意外に多いようだ。
同センターでは、2017年9~12月に各メーカーからクルマの提供を受け、テストコースで先進安全装置が実際に作動するか実験を繰り返し、動画に撮影した。その結果、必ずしも機能しない場合があることがわかった。100%安全ではないのだ。
また、それぞれのシステムには次のような「弱点」があった。
(1)衝突被害軽減ブレーキ。
人や自転車の急な飛び出しには作動しない場合がある。特に子どもや背の低い人、動物、暗闇にいる歩行者は気づきにくい。
また、先行車の後部の形がはっきりしないタイプ(タイヤが見えにくい・極端に車高が低いか高いなど)は検知しにくい。また、悪天候で視界が悪い時やカーブを走っている時は機能しにくい。
フロントガラスが汚れ、水滴がついている場合や、前方から強い光が当てられた時は、道路わきにある物などを障害物と誤って検知する場合もある。
(2)ペダル踏み間違い時加速抑制装置。
前方の障害物を認識するにはある程度の大きさが必要だ。背が低い・幅が狭い・針金やロープなど細い場合は検知しにくくなる。
(3)定速走行・車間距離制御・車線維持装置。
いずれも急カーブや急こう配、悪天候の時は使用しないこと。定速走行・車間距離制御装置は、先行車が急に割り込んできた時やオートバイ、後部の形がはっきりしないタイプは機能しにくい。
車線維持装置は車線のレーンマーカーが不明瞭な時や、幅が狭い時、前方から強い光を浴びている時は、機能しにくい。
(4)駐車支援システム。
砂利など整備されていない駐車場、傾斜・段差のある場所、すべりやすい路面、マンションなどの機械式駐車場では使ってはいけない。
そもそも駐車支援システムは、自動的に障害物を回避することができないため、ドライバーは周囲の状態を確認する必要がある。
駐車の枠内に障害物(壁の出っ張りや消火器など)がある場合は、自分でハンドル操作をする。
国民生活センターは、
「先進安全装置の機能には限界があり、性能や作動する時の条件は車種によって違います。購入時にしっかり正しい使い方を理解しないで、装置を過信すると、装置が適切に作動せず、思わぬ事故につながる危険があります。また、自動車メーカーや販売ディーラーは、ドライバーにわかりやすく説明することを要望します」
と語っている。