その41 申告敬遠 「こんなものいらない!?」(岩城元)
2018年02月20日11時50分
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野球で敬遠(故意四球)の際、守備側が申告すれば投球しなくてもいいという「申告敬遠」の規則が今季(2018年)からプロ・大学・社会人を通して導入される。
大リーグではすでに昨季(2017年)から「時間短縮」を目的に導入されており、日本もこれに追随した。
わずか4球の「間」にある楽しみ
しかし、わずか1分かそこらの時間短縮のために、敬遠を「投球なし」にしてしまってもいいのだろうか――。そもそも野球はサッカーなどとは違って「間(ま)」を楽しむ要素が大きいスポーツである。それなのに、「申告敬遠」は観客からその楽しみのいくらかを奪ってしまう。
たとえば、敬遠で投手が4球を投げる間、観客には投手や打者の心理をいろいろと推し量る楽しみがある。投手や打者のしぐさや表情を見るのも楽しい。敬遠に抗議して、バットを持たずに打席で構えたプロ野球選手もかつていた。攻撃側のファンが守備側を「ひきょう者」と罵ることもできる。
また、プロ野球ではこれまで、打者が敬遠球を打ってサヨナラ安打にしたり、投手が敬遠球を暴投してサヨナラ負けしたりしたこともある。申告敬遠はそんなドラマも生まれなくしてしまう。
申告敬遠についての報道を見ていると、監督や選手側には反対論があまりないようだ。かつて捕手だったプロ野球・楽天の梨田昌孝監督は「現役時代、敬遠は投げずに一塁出塁だったらいいのにと思ったこともあった」と話している。