その41 申告敬遠 「こんなものいらない!?」(岩城元)
2018.02.20 11:50
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「申告敬遠」は野球を変えてしまうのではないか?
僕のような野球の素人にとっては、投手が敬遠で4球を投げるのは簡単なように思えるが、そうではないみたいだ。この4球によって、それまでの投球のリズムを崩してしまうこともある。サヨナラ安打や暴投といったリスクもある。
想像するところ、監督や選手側から強い反対論が出ないのは、そうした事情もあるからではないか。そうならば、申告敬遠は「観客不在」の規則とは言えまいか。僕が知る限り、選手側でこれに反対しているのはイチロー選手くらいである。
大リーグで申告敬遠を経験した彼は「面白くないね」と言い、導入前にも「(申告敬遠は)本塁打でベースを1周しなくてもいいという理屈にもなる。野球を変えてしまうのではないかと心配」と語っている。
その通りだと思う。イチロー選手が心配するようなことになり、もし満塁本塁打が出たら、どうなるか? 打者がベースを1周しないのだから、塁上の走者3人も塁を回る必要がなくなり、真っすぐベンチに戻ってくることになる。時間は短縮できるが、「間」がすっぽりとなくなり、面白みも何もあったものではない。
規則を変えること自体は悪くはない。しかし、そのスポーツの本質にからむこと――たとえば、野球の場合なら「間」に関することは、簡単に変えてもらいたくはないのである。(岩城元)