2018年 5月 25日 (金)

ビジネスで使える! スケート女子「復活」支えた外国人コーチならではの指導法(大関暁夫)

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   日本代表のメダルラッシュが続く平昌冬季オリンピック大会。冬季大会と言うと、我々50半ばすぎの世代には1970年札幌大会のスキージャンプ70メートル級での、表彰台独占の快挙が思い浮かぶのですが、夏季大会に比べると日本のメダル獲得が非常に難しい競技が多い印象です。

   今大会で特に注目に値するのは、女子スピード・スケートです。2018年2月20日時点で、すでに金メダル1個を含む、メダル4個を獲得しています。前回ソチ大会で同競技の獲得メダルがゼロだったことを考えれば、飛躍的な発展であると言っていいと思います。

  • 女子スピード・スケート、外国人コーチの教えで「復活」!(写真はイメージ)
    女子スピード・スケート、外国人コーチの教えで「復活」!(写真はイメージ)

「変身した」リベンジ選手活躍の舞台裏

   注目されたスピード・スケートですが、特筆すべきは前大会以降、新たな選手が登場して活躍したわけではなく、今回の4個のメダルは前々回のバンクーバー大会(2010年)からのリベンジに賭けた2選手が獲得したものだったことです。

   すなわち、日本の女子スピード・スケートチームは、個々の選手の改善によって実力が向上し、世界のトップクラスと互角に戦えるレベルになったのです。では、前回大会までと今回大会で、いったい何が変わったのでしょうか。

   新聞などの報道によれば、ソチ大会をメダルゼロに終わった日本は、海外からコーチを招へいすることにし、そのコーチの下で従来の練習パターンをゼロから塗り替えるようなやり方に変えたのだと言います。

   招へいされたのは、ヨハン・デビッド氏。オランダ人コーチです。オランダは知る人ぞ知るスケート王国。近年のオリンピックの女子スピード・スケート競技では、毎回半数以上の金メダルを獲得するという、誰もが認める絶対王者なのです。

   デビッド氏は、日本チームの練習を根本からつくり変えたそうです。それまで日本チームのやってきたことは、とにかく細かい技術力を磨くこと一辺倒。デビッド氏はこの指導方法を改め、経験に裏打ちされた成績改善に有効なデータを元に目標を明確にして、一つひとつ、それをクリアしていくことで着実な成長を促すやり方に変えたのです。

   デビッド氏の目には、データに依らず雰囲気で目先の細かい改善点にばかり気を奪われてしまうことが、日本人特有の悪い癖に映ったのでしょう。

実績アップは地道な努力の積み重ね

   企業においても、実績の上がらない担当者指導に関して有効なのは、スキル力アップの名のもとにあれこれ細かいテクニックを伝授することではなく、有効なデータを使った論理的かつ地道な努力の積み重ねだったりします。

   私が独立して間もない頃、とある企業の現場営業のコンサルティングを一緒に担当したH氏との仕事は、まさにこれに近いことを学ばせてもらったケースでした。

   多数の契約社員を営業部隊として抱え、飛び込み営業を中心として業績を積み上げてきたサービス業K社の社員定着率の向上に向けた評価制度の改訂を手がけていた際に、同社のO社長から確実に実績の上がる営業指導ができる、飛び込み営業の指導者経験のあるコンサルタントはいないだろうか、と相談を受けたのでした。

   同社では過去に、営業コンサルティングを監査法人系のコンサルティング会社に頼んだところ、会計士を中心としたコンサルタントたちが机上論に根ざした営業活動の効率化をメインに据えた、もっともらしい施策を繰り返すばかりで、実績は一向に上がらなかったのだと。

   そこで、「机上論ではない実体験に基づく指導をしてもらいたい」ということになったのです。

   私は、直前に他社で一緒に営業チームの実績改善を手がけたH氏に声をかけました。H氏は、自身も若い頃飛び込み営業ばかり、全国数百人の営業マンを抱える大手企業で数年間にわたり連続トップの成績をあげ、そのやり方を営業マン指導に活かすことで、30代で役員に大抜擢された元スーパー営業マンです。

   彼のやり方の特徴は、一般的に獲得実績以外はほとんどデータ管理しない営業指導を、徹底してデータ化して世の優秀な営業マンの平均値と比較・改善させるやり方でした。

効果テキメン 外資系コンサルティングの手法

   私が彼をO社長に紹介すると、彼は自信満々に、こう言いました。

   「私が実地に調べてきた、業種を問わぬ優秀な営業マンたちの行動を分析した有効な活動情報に関するデータがあります。当社の営業マンの行動実態を調査し、まずは一人ひとりの行動をその優秀な営業マンたちの数値と比較し、劣っている項目を徹底的に改善指導することです。そうすれば、結果として営業実績は必ず上がります」

   そのやり方の一例をあげれば、彼のデータベースでは営業実績の向上に資する有効なデータは、日々の訪問件数ではなく面談時間であるとし、1日あたり最低180分以上の面談時間を実現すること、を指導します。

   もし、それが実現できない場合は、その理由を明確にして、支障になっている余計な仕事を排除するなどの支援策を講じてでも実現させるのです。

   この方法は効果テキメンでした。それまで全営業マンの約1割しか目標達成者がいなかったのですが、半年後には半数弱の営業マンが目標を達成するに至ったのです。

   流通業などで使われている、さまざまな工程を他社データとの比較で自社の改善をしていくバリューチェーンという考え方も、これを同じような手法になります。

   これもまた外資系コンサルティング会社が考えた手法です。日本人には、成功者のデータを元にして論理的に自己の改善のつなげるという考え方は馴染みが薄いのかもしれませんが、外国人コーチ指導の下での女子スピード・スケートの選手たちの「復活」的活躍を見るに、この手法から学ぶべきものは多いような気がします。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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