引っ越しシーズン、真っ只中!前回は刈谷龍太弁護士に、引っ越しでの注意点を聞いたじぇい。今回は、新生活をはじめるうえで必要な届け出について、教えてもらったじぇい。届け出は、転居した日から14日以内に!引っ越し後、役所へ届け出なければいけないものを教えてほしいじぇい引っ越しする際には、住民票の記載について各市町村の役所で手続きする必要があり、住民基本台帳法でこれを定めています。この法は、住民が引っ越す場合を、(1)一つの市町村の区域内において住所を変更するパターン(転居)(2)もとの市町村の区域外へ住所を移し(転出)、新たな市町村の区域内で住所を定めるパターン(転入)の2パターンに分けて取り決めています。第一に、住民が転居をする場合(1)は、転居をした日から14日以内に、・氏名・新旧住所・転居をした年月日・世帯主についてはその旨・世帯主の氏名及び世帯主との続柄を市町村長に届け出なければなりません(住民基本台帳法23条)。同じ市町村の中で住所を移すだけですから、その市町村の役所で手続をすれば届出は完了です。第二に、住民が転出・転入する場合(2)についてです。こちらは引っ越し元の住所と引っ越し先の住所が、別の市町村にまたがっていますから、それぞれの役所で手続きします。まず、住民がこれまで住んでいた市町村から転出するとき、あらかじめ、その氏名と転出先及び転出の予定年月日を、転出元の市町村長に届け出なければなりません(同法24条)。そして、転出届を受けた市町村長からは、転出証明書が交付されます(同法施行令24条1項)。次に、住民が新たな市町村へ転入するとき,交付された転出証明書を添えて,転入をした日から14日以内に、・氏名・新旧住所・転居をした年月日・世帯主についてはその旨・世帯主の氏名及び世帯主との続柄・転入前の住民票コード(※国外からの転入の場合には別途届出事項があります)を、転入先の市町村長に届け出なければならないとされています(同法22条1項、2項、同法施行令22条)から、きちんと届け出てください。引っ越しの後に、役所に届け出ないと困ることは?届出をしなかった場合、不利益になるようなことはあるの?法がこうした届出を住民に義務付けている理由は、住民の居住関係の公証し、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うことで、住民の利便や行政の合理化を図ることにあります(住民基本台帳法1条)。実際に、住民票のデータをもとに選挙人名簿への登録が行われ(公職選挙法21条1項)、この選挙人名簿をもとに裁判員裁判で呼び出される裁判員候補者が選出されています(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)。引っ越し先の市町村に対して、きちんと届け出ることは、その市町村での行政サービスを受けるための前提となるわけです。なにか、罰則はあるんきゃすか?住民基本台帳法52条2項によれば、正当な理由なく転居届、転入・転出届をしない者に対しては、5万円以下の過料という制裁が下されることがあります。過料とは、行政上の秩序を維持するために違反者に制裁として金銭的負担を課すものをいいます。今回の届けなかった場合に課される過料には、住民基本台帳制度を有意義なものとすべく、住民に対してきちんと届出をするように動機づける意味があります。なお、罰金や科料のような刑罰ではありませんので、課されても前科になるわけではありません。刈谷龍太(かりや・りょうた)弁護士中央大法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研鑽を積み2014年に新宿で、弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として、日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラムを執筆。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務でも活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決や、提案力を発揮する。千葉県生まれ、35歳。
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