2024年 4月 18日 (木)

狙っていた武田薬品株を買いそびれ 判断が鈍った、そのワケは......(石井治彦)

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   しまった! 気がついたときには手遅れだった――。欧州製薬大手で英国に上場するアイルランドのシャイアー社の買収発表で揺れ動いた武田薬品工業の株価。武田株はこのM&A問題で、2018年6月19日に1株4203円の年初来安値をつけたが、直近(過去4か月)の株価は4300~4700円で推移していた。

   これはチャンス到来とばかりに、買いのタイミングを計っていたのに...... 嗚呼、なんたるチョンボ。ショックだ。

  • ショック! 買いそびれた武田薬品株(写真はイメージ)
    ショック! 買いそびれた武田薬品株(写真はイメージ)
  • ショック! 買いそびれた武田薬品株(写真はイメージ)

M&Aで「時間を買う」

   この数か月、ずうっと武田株を狙っていた。会社四季報最新銘柄レポート(9月12日号)に、武田薬品工業は「大型薬特許切れによる業績低調からの再生めざし、2008年の米ミレニアム社、11年スイス・ナイトコメッド社、16年の米アドリア社などの大型買収で、グローバル化を急展開した」とあるように、積極的なM&A(企業の合併・買収)を繰り返してきた。

   2014年以降は、フランス人のクリストフ・ウエバー社長が経営を舵取り。消化器系や中枢神経系、がんなどに研究開発を絞込み、米国に重点シフトするなど研究開発の改革も推進した。希少疾患薬で世界首位のシャイアー社の巨額買収でも、「時間を買う」方法を選んだ。ウエバー社長が目指す方向性が、明瞭に見てとれると強く感じたからだ。

   シャイアーの買収で、武田薬品の売上高は1兆7370億円(会社四季報最新版 2018年4集秋号)となり、世界のトップ10入り。ビッグファーマの仲間入りを果たし、日本初のメガファーマ誕生となった。

   それにもかかわらず、株価はさえない。しかし、その理由もはっきりしている。

   (1)近年、慢性疾患治療薬の開発がほぼ一巡したため、新薬メーカーは、がんや認知症、希少疾病向けなど難易度の高い領域でしのぎを削っており、研究開発費が膨らむ状況にある。そうした状況の中で、武田薬品の2019年3月期の決算予想は減収・減益が見込まれている。原因は、国内薬価改定による利益の下押しと資産売却益の減少によるものとされる。

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
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