2024年 4月 24日 (水)

社長が挑む「社風改革」 変わる上層部と置き去り社員のギャップを埋めるには(大関暁夫)

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社長が「ウチにほしい」と強く思ったワケ

   そこで、さっそくT社長のアポイントを取り、大企業の傘下で株式上場をめざす中で、担当者レベルまでを含めた組織風土の改革をどう考えているのか、を聞いてみました。すると、驚きの回答が待っていました。

「ベンチャー企業は会社を発展させていく中で、ある程度までは社長が腕力で引っ張っていくしかない。ただ上場を見通した際には、その先でいつ自分がいなくなっても大丈夫な組織をつくっておかないと、株主に迷惑かけることになりますから、ここが試練です。
そのために、今あえて大企業の傘下に入って風土を変えようとしているわけですが、多くの社員に身に付いた待ち受け的な業務姿勢はなかなか抜けないものです。幹部を変えてもまだ先は長い。Mさんは、いい人を紹介してもらいました。大企業で自分の意見を上に通そうとして大組織の壁に嫌気したというあの気概が、ウチにほしいと強く思ったわけです」

   なるほど、ワンマン体質に不満をもつ中小企業社員は多いのですが、慣れてしまえば自分で決めなくていいという、こんなにラクな職場はなく、そのムードは蔓延しがちです。しかし上場を考えるなら、それではダメ。そんな組織状況を変えてくれる起爆剤。それが大企業で主体性をもって働いてきたMさんだというわけです。

「私も社会人のスタートは大企業でした。Mさん同様、足先の痛みがアタマにまで届かないようなマンモス組織はダメだと会社を飛び出したクチですから、面接での彼の話に忘れていた昔を思い出させられ、今ほしいのはこんな人材だと強く思ったのですよ」

   Mさんに社長の話を上手に伝えることで、現状立ち位置が見えないMさんのモチベーションは確実に転換できると思います。そうなれば、彼はきっとW社の将来をかけたターニングポイントづくりのキーマンになってくれるだろうと、紹介者の立場で期待しています。

(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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