2024年 5月 4日 (土)

増える高齢者の住み替え 中古住宅の低すぎる評価が老後資金を食いつぶす(鷲尾香一)

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「サ高住」という選択はあるけれど......

   サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、主に民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅で、自立(介護認定なし)あるいは軽度の要介護高齢者を受け入れている。

   日中は生活相談員が常駐し、入居者の安否確認やさまざまな生活支援サービスを受けることができる。高齢者の住み替えでは、サ高住は有力な選択肢となる。

   だが、問題は高齢者世帯の住み替えには、これらの理由とは別に老後資金の問題がある。平均寿命が延び、老後期間が拡大するなか、死ぬまでに必要な老後資金も増えている。この老後資金を手当てするために、自宅を処分して資金をつくり、これまでよりも狭くとも家賃の安い民営の借家へ住み替えるという選択をしている高齢者世帯が多いのだ。

   ただ一方では、たとえば自宅を担保に老後資金を借り入れ、返済は死亡時に自宅を処分して借入金を返済する仕組みの、いわゆる「リバースモーゲージ」でも、あるいは住宅そのものを処分する場合でも、日本は中古住宅に対する評価や人気の住宅地以外の宅地の評価が低いため、十分な老後資金を手当てできないという厳しい現実がある。

   平均寿命は延び続け、年金支給開始年齢は先延ばしになり、年金支給額は減少傾向にあるなか、これから高齢者の仲間入りする世代、あるいは現役世代にとっては、このままでは、より厳しい老後が待ち構えているということになりかねない。

   年金制度や高齢者の働き方といった問題だけではなく、現役世代が減少し、高齢者が急増する時代の国のあり方について、広範囲にわたったグランドデザインづくりを行い、政策を立案する必要があるのではないか。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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