2024年 5月 4日 (土)

【投資の着眼点】「希望」と「恐怖」の感情に揺れる「損切り」のタイミング

「賭けなければ、勝てない」

   資産を守るために損切りが必要であることをよく言い表している格言としては、米国の投資顧問業者として実績を上げてきた、ラリー・ハイトの言葉がある。

「私には人生でもトレードでも、勝つために必要なふたつの基本原則がある」
(1) 賭けなければ、勝てない。
(2)掛け金をすべて失えば、賭けは続けられない。

   では、損切りができない人とは対照的に、利益を伸ばすことができない人の心理的背景にはどのようなものがあるのだろうか――。この手の投資家によくある過ちは、含み損が出ていた株が、買った価格まで戻るとすぐに決済してしまうというものだ。

   または、小さな利益が出ていた株が購入価格まで戻ってくると、すぐに決済して損を出したくないというのもある。

   いくら損切りを徹底していても、利益を伸ばすことができなければ、結局のところ勝つことはできない。これには、全米トレード選手権に出場し、数々の輝かしい成績を残したトレーダーであるマーティ・シュワルツ氏の言葉がある。

   「なぜ多くのトレーダーは損をするのでしょう」との問いかけに対して、シュワルツ氏はこう話す。

「ミスを認めるよりも、損をするほうを選ぶからだ。損したポジションを持っているトレーダーの極め付けの正当化はなんだと思う?」
「トントンになったら手仕舞うよ」
と。
「トントンで手仕舞うことがどれほど重要なのか。それはおそらく自尊心を満足させられるからだろう。私が勝てるトレーダーになれたのは、『自尊心よりも、金儲けのほうがもっと大事だ』と言えるようになったからだ」

   筆者も、おおいに共感する。

   ある株が下がり始めると、下げ始める前に高い値段で買っていて、損切りしないでいつまでも塩漬けにしている投資家が出てくる。

   時間が経って、損失が膨らむほど、損益ゼロになるまで株価が回復するだけで大喜びする。「損をすることなく買った株を売ることができた」と考えて、自尊心を満足させられるからだ。だから、株価が回復して「トントンになったら」売りたいのだろう。

   これは損切りができない人へのアドバイスだったが、同時に利益を伸ばすことができない人へのアドバイスにもなっている。いつもトントンになったら売ってしまうようでは、いつまでも利益を手にすることはできないからだ。

(ブラックスワン)

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