2018年 12月 19日 (水)

【投資の着眼点】「希望」と「恐怖」の感情に揺れる「損切り」のタイミング

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   投資の格言に、「損切りは早く、利は伸ばせ」がある。

   見込みのない株は早めに決済して損失を確定させる。その一方で、上昇中の株はさらに伸びて大きな利益を生む可能性があるので、利益を確定させたい気持ちをグッとこらえて、上昇するのを見守るべき、という教えだ。

  • 「損切り」、どうする!?
    「損切り」、どうする!?

「損切り」が苦手な投資家は多い

   「そんなことはわかっている!」――。多くの投資家が、そう言うに違いないのだが、ほとんどの人は、どちらか片方あるいは両方とも苦手であることが多い。

   そのため、たった1回のトレードで損切りできなかったせいで口座資金の大半を失ったり、損切りは躊躇なくできるが利益を伸ばすことができないために、損切り貧乏になってしったりするケースが多く見られる。

   ちなみに、筆者は後者の「損切り貧乏」だった。それにしても、なぜ多くの投資家がこうした問題を抱えてしまうのだろう。損切りができない心理的要因について考えてみた。

   株式相場に存在する感情は、ふたつしかないと言われる。それは、「希望」と「恐怖」だ。損切りができない背景には、本来なら希望を抱いてはいけない場面、すなわち買った株が値下がりしているときに「損切りしなければ、そのうち株価は戻ってくるかもしれない」と、希望を抱いてしまうことがある。

   だが、それは大きな危険をはらんでいる。

   そもそも、なぜ損切りが必要なのだろうか。それを示すたとえ話がある。いま、アナタの目の前に、2つのボタンがある。あなたは、どちらか1つを選んで押す必要がある。

(1)1万円を支払い、100%の確率で10万円を受け取る。
(2)1万円を支払い、98%の確率で1億円を受け取るが、2%の確率で全財産を失う。

   おそらく多くの人が、(2)を選択するのではないだろうか。ただし、それはボタンを押すのが1回きりの場合だ。

   100回連続で同じボタンを押し続けなければならないのなら、間違いなく(1)を選ぶべきだ。(2)の場合、試行回数を重ねるにつれ、破産の確率は高まっていく。

「賭けなければ、勝てない」

   資産を守るために損切りが必要であることをよく言い表している格言としては、米国の投資顧問業者として実績を上げてきた、ラリー・ハイトの言葉がある。

「私には人生でもトレードでも、勝つために必要なふたつの基本原則がある」
(1) 賭けなければ、勝てない。
(2)掛け金をすべて失えば、賭けは続けられない。

   では、損切りができない人とは対照的に、利益を伸ばすことができない人の心理的背景にはどのようなものがあるのだろうか――。この手の投資家によくある過ちは、含み損が出ていた株が、買った価格まで戻るとすぐに決済してしまうというものだ。

   または、小さな利益が出ていた株が購入価格まで戻ってくると、すぐに決済して損を出したくないというのもある。

   いくら損切りを徹底していても、利益を伸ばすことができなければ、結局のところ勝つことはできない。これには、全米トレード選手権に出場し、数々の輝かしい成績を残したトレーダーであるマーティ・シュワルツ氏の言葉がある。

   「なぜ多くのトレーダーは損をするのでしょう」との問いかけに対して、シュワルツ氏はこう話す。

「ミスを認めるよりも、損をするほうを選ぶからだ。損したポジションを持っているトレーダーの極め付けの正当化はなんだと思う?」
「トントンになったら手仕舞うよ」
と。
「トントンで手仕舞うことがどれほど重要なのか。それはおそらく自尊心を満足させられるからだろう。私が勝てるトレーダーになれたのは、『自尊心よりも、金儲けのほうがもっと大事だ』と言えるようになったからだ」

   筆者も、おおいに共感する。

   ある株が下がり始めると、下げ始める前に高い値段で買っていて、損切りしないでいつまでも塩漬けにしている投資家が出てくる。

   時間が経って、損失が膨らむほど、損益ゼロになるまで株価が回復するだけで大喜びする。「損をすることなく買った株を売ることができた」と考えて、自尊心を満足させられるからだ。だから、株価が回復して「トントンになったら」売りたいのだろう。

   これは損切りができない人へのアドバイスだったが、同時に利益を伸ばすことができない人へのアドバイスにもなっている。いつもトントンになったら売ってしまうようでは、いつまでも利益を手にすることはできないからだ。

(ブラックスワン)

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