2021年 1月 21日 (木)

2022年、都会の「生産緑地」が宅地に変わる! どうなる地価? どうなる農家?(鷲尾香一)

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都会の農家は農業だけでは食えない

   農林水産省は2018年4月1日、特定生産緑地制度を施行した。この制度は、生産緑地の指定から30年経過後は、市区町村への買取り申出時期を10年ごとに延長できるようにした。生産緑地指定の延長のようなものだ。さらに、9月1日からは「都市農地の貸借の円滑化に関する法律(都市農地貸借法)が施行された。

   これまでの農地法では農地を貸借すると相続税の納税猶予が打ち切られ、猶予税額と利子税の納税が必要だった。さらに、貸借契約を打ち切る場合には、契約を更新しないことについて、知事の許可がない限り、農地が返還されなかった。

   これが9月1日からの新法では、相続税納税猶予を受けたままで農地を貸すことができるようになり、また貸借契約でも契約期間経過後に農地が返還されるように変更した。

   さらに、これまで生産緑地を借りる場合には、地方公共団体や農地利用集積円滑化団体、農地中間管理機構の仲介が必要だったが、新法では農地所有者から直接借りることができるようにするなど、生産緑地の貸借が安心して行える新たな仕組みを整えた。

   生産緑地の借り手は、農業体験農園、学童農園、福祉農園、観光農園などへの利用や、農業試験や農業研修に利用することもできる。

   実際に、「生産緑地のある場所は土地の価格が高いため、購入して農業を行うことは非常に困難なため、貸借が容易にできるようになったのは評価できる」(農業体験農園の経営者)との声がある。

   しかし、「農地面積も狭いため、農産物だけで生活するのは難しい。そのうえ、生産緑地は1か所にまとまっているわけではなく、離れているために効率的な農業がやりづらい」(都内の農家)という。

   さらに、「都内の農家のほとんどが兼業農家なのは、後継者の問題もあるが、生産物だけでは生活できないから。生産緑地の借り手が法人組織で農業に乗り出しても、生産物だけで経営していくのは難しいのではないか。多くの生産緑地に借り手が付いて、指定が継続されるとは思えない。その多くは、やはり指定が解除され、宅地化されるのではないか」(別の都内農家)との指摘は多い。

   果たして、国は生産緑地の指定解除に歯止めをかける有効打を放つことができるだろうか。

(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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