2024年 4月 20日 (土)

危機は「政治」からやってくる 経済分析だけで市場予測できない時代(志摩力男)

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トランプ再選は中国次第?

   今、米国は強そうに見えます。ただ、2018年末に株価が急落したとき、米国の狼狽ぶりには大変なものがありました。トランプ大統領は何度も米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長をツィートで攻撃し、FRBはついに金融政策の変更に踏み切りました。そして、急速に貿易交渉を取りまとめようと動いたのです。

   これは中国側から見ると、米国のアキレス腱が金融市場にあるということを如実に示しているのではないでしょうか。株価さえ崩せば、「妥協」「ディール」が引き出せますから。

   トランプ大統領の最大の目標は2020年の「再選」です。そのためには高い株価が必要です。大統領はこれまで、「高い株価=経済政策」の成功というロジックで使っています。だが同時に、米中貿易戦争でも勝利しなければなりません。

   米中貿易戦争が激しくなると株価は下落するので、徹底的な勝利を求めると再選が遠のきます。よって、株価が高いときには米国は中国に対して攻撃的になりますが、株価が下落すると妥協を求めるという、傍目には首尾一貫しない対応になっているようにも見えます。

   また少々経済が混乱しても、習近平氏の権力基盤は揺るぎませんが、米国大統領は選挙で負けて消えることになります。2020年が近づくにつれ、中国側には貿易問題を意図的に悪化させて、米国株を下落させることで、トランプ氏再選を妨げるという戦略も取りえます。

   ある意味、これは自由な市場と民主主義という米国の根本が問われているとも言えます。

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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