その77「総合的に判断した結果」という理由 「こんなものいらない!?」(岩城元)
2019.02.20 07:00
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責任逃れでしかない
僕が想像するところ、新井容疑者の作品を引き続いて流したら、たとえば「あんな悪者の出ている作品でカネもうけするなんて、けしからん」などといった批判や反発が出てくるのが、NHKやフジテレビは怖かったのだろう。
だけど、そう正直に言うのは体面が悪くて恥ずかしい。そこで、「総合的に判断」という表現で逃げたのではないだろうか。責任逃れの発言と言えるだろう。
そして、こんな無責任な言葉遣いが、今回の「お蔵入り騒動」に限らず、世の中のいろんなところでのさばっている。
クレジットカードへの加入やローンの申し込みが断られるときも「総合的に判断した結果」である。国会で政権側が使うこともちょくちょくあるし、会社などの組織の中でも、上司が部下に向かって、そう言うことが少なくはないようだ。
「総合的に判断した」と言うほうは、気分がいいだろう。中身はなくても、いかにも高度な判断をしたような気持ちにもなれる。「上から目線」である。しかし、言われるほうは、たまったものではない。相手が上司だったら、文句も言えない。
とはいえ、こんな言い方をいつまでもはびこらせていては、世の中は少しもよくならない。組織の中の若手の諸君も、勇気を出して、「総合的に判断」の理由や根拠を上司に質していこうではないか。(岩城元)