2024年 4月 25日 (木)

理不尽を憂いても何も改善しない! 巷に溢れる仕事術へのアンチテーゼ(気になるビジネス本)

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   【10連休は本を読む】仕事に不安や悩みはつきものです。転職サイトなどを運営するエン・ジャパンが、1万人のユーザーに実施した「職場での人間関係」(2018年10月実施)の調査では、転職経験者の半数以上が「人間関係が転職のきっかけになったことがある」、8割以上が「今までの職場で、人間関係に難しさを感じたことがある」と答えていたことが、明らかになっています。

   仕事の不安や悩みは人間関係が影響しています。必要なことは、仕事で大成功する方法ではなく、失敗やトラブルを防ぎ、理不尽さによる不幸を回避する方法です。

「波風を立てない仕事のルール」(尾藤克之著)きずな出版
  • 波風立てずに……
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会社の理不尽を正しく理解する

   会社は理不尽なものです。たとえ自分にまったく落ち度がなかったとしても、謝罪に追い込まれたり、責任を取らされたりすることは日常茶飯事です。

   会社の業績が悪化したから人員をリストラするというのも、そうでしょう。別にリストラされた人たちだけが原因で、業績が悪化したわけではありません。あるいは、リストラで職を追われるほどでなくても、あなたも仕事でこんな経験をしたことが、一度くらいはありませんか。

上司も賛成した企画だったのに、社長がケチをつけた途端に「自分もそこが気になっていました。ダメだよ、こんな企画は」と自分だけが怒られる。

上司が安請け合いして、無理な予算・無理なスケジュールで取ってきた仕事を、〆切どおりにやるように指示され、守れなかったら自分のせいにされた。

部署全体の売り上げが悪い責任が、管理職でもないのに、なぜかよくわからないが自分一人に負わされている。

   こうした世の中の理不尽さに対峙して、実際に行動を起こす人もいるでしょう。ただ、多くの人はそこまでの気概を持っていないと思います。また、組織の風土を変えるのはあなたの想像以上に難しく、どれだけ頑張ったところで、正直なところ、実現の可能性は低いものになります。

   必要なのは、仕事における理不尽をなくす方法ではなく、存在している理不尽をかわし、防ぎ、対処する方法です。

   理不尽な組織や、理不尽な上司を変えることはできませんから、「理不尽な状況に追いやられないように、どう立ち振る舞えばいいのか」「理不尽な状況に追いやられてしまったら、どう切り抜ければいいのかを知っておくことが大切です。

失敗やトラブルを防ぎ、回避せよ

   かつて、私は議員秘書をしていました。想像がつくかもしれませんが、理不尽が平然とはびこっている世界です。私はその後、大手コンサルティングファームや、IT系事業会社の役員を務めていました。そこでもいろいろと理不尽な目にあったり、理不尽な目にあってしまった人々の姿を見たりしてきて、自分なりの処世術を確立させました。

   これは言い換えれば、仕事などで大失敗や面倒なトラブルに巻き込まれることなく、穏便に働きながらも、上司に気に入られて、そこそこの評価を勝ち得て、いい具合に生きていく方法です。「波風を立てず、できるだけ穏便に働く方法」といってもいいかもしれません。

   そういうことなので、「敵を作っても良いから出世したい」「組織に縛られず自由に働きたい」「一発逆転の大成功をして、大金や名声を手に入れたい」と思っている方には、魅力的に感じないかもしれません。

   私が思うのは、世の中の会社員は必ずしも全員がそのように野心にあふれ、エネルギッシュで、熱意を燃やせる人ばかりではないだろうということです。

   その人たちにとって必要なのは、仕事で大成功する方法ではなく、失敗やトラブルを防ぎ、理不尽さによる不幸を回避する方法です。いま、市場には「成功する仕事術の本」が溢れています。それらに対するアンチテーゼとして、私がお伝えできることをまとめました。

(尾藤克之)

「波風を立てない仕事のルール」

尾藤克之著

きずな出版

税別1400円

尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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