2019年 6月 21日 (金)

米中貿易戦争の真相やいかに? 1ドル札の「流転」がわかれば世界経済が見える(気になるビジネス本)

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   2016年の米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した直後、中国は「財政見直し」と称して1880億ドル相当の米国債を売却した。

   選挙戦で「米国ファースト」を掲げ、「中国との経済関係を改善する」と息巻いていたトランプ氏に、当時の金融メディアは、米国の最大債権者である中国が警告を発したと報じた。

   ところが、2018年春に緊張が高まった米中貿易戦争をめぐっては、先に米国が対中追加関税を発動したときにも中国は米国債を「手放す」などと脅すそぶりを一切見せなかった。なぜか――。その答えが、世界の基軸通貨である「米ドル」にあるらしい。

「1ドル札の動きでわかる経済のしくみ」(ダーシーニ・デイヴィッド著 池上彰監訳 花塚恵訳)かんき出版
  • 中国・深圳のエレクトロニクス製品の工場。中国が米ドルを蓄えるうえで大きな役割を果たしているが…(By Steve Jurvetson from Menlo Park, USA - glue worksUploaded by Zolo, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9968048)
    中国・深圳のエレクトロニクス製品の工場。中国が米ドルを蓄えるうえで大きな役割を果たしているが…(By Steve Jurvetson from Menlo Park, USA - glue worksUploaded by Zolo, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9968048)

米ウォルマートから1ドル札の流れを追う

   結論を言えば、米大統領選後に中国が米国債を手放したとき、市場ですぐに買い手が現れたから。中国の警告には効果がほとんどなかったようだ。

   米ドルは、世界で最も流通する最強の通貨。ドルが経済活動を通じて世界を渡り歩き、行きついた場所でどんなことが起き、それがたとえ遥か遠くであっても、めぐりめぐって私たち生活に影響を与えていることを、読み物仕立てで語られる。

   本書「1ドル札の動きでわかる経済のしくみ」(かんき出版)は、米ドルの動きを追えば、世界経済が見えてくるはずと挑んだ一冊。このところ緊張感がさらに高まっている米中貿易戦争の背景を解説する役割も担っている。

   米テキサス州のウォルマートで、中国製の格安ラジオの購入に支払われた1ドル札は、中国へ送られる。ウォルマートは製品供給で中国依存を強めて低価格商品をそろえ、米国では「消費の大聖堂」とも称される。

   中国に到達した1ドル札は、ラジオを製造した深?の電機メーカー、ミンテン社に届けられる。同社の銀行口座に入金されると現地通貨に両替され、1ドル札は中国人民銀行の金庫に吸い上げられる仕組みだ。

   中国は、世界の工場を目指した成長過程で、各工場である企業には国内での調達を「元」で行わせるようにして、取引で得たドルを銀行で両替させて外貨準備高を増やし、米国債の購入などで影響力を高める努力を行っている。

   中国の成長過程の解説では、2002年から15年ものあいだ中国人民銀行総裁を務めた周小川氏の功績に触れ、その舵取りの見事さを回想する。周氏の総裁任期中に、国家主席は3人が就いている。中国近代化推進者としての周氏の評価は間違いないところだが、本書では、商務部の重責にあったリ・リン夫人との二人三脚があったことを指摘している。

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