2020年 5月 27日 (水)

「時給1000円」払えないのはダメ企業? 最低賃金引上げより直接給付が100倍マシな理由(城繁幸)

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低所得者に確実に現金が届く方法がある!

   そんなA社の社長は、設備投資でもして生産性を高めて時給を上げる努力をするだろうか。たぶんだが、おそらくは廃業すると思われる。では、働いていた老人たちは街に出て再就職活動をスタートさせるだろうか? これもたぶんだが、ほとんどは就労を辞め、生活費の不足分は福祉のお世話になるだろう。

   最低賃金の議論をするときに覚えておいてほしいのは、いろいろな選択肢がある中で、本人が納得して働いているという点だ。当人にはそこで働くなにがしかの事情があるわけで、それを一切無視して「時給〇〇円以下で働くのは悪」と決めつけてしまうのはやや乱暴な議論だろう。

   では、低所得者は水飲んで暮らせとでも言うのか! と思った人もいるやもしれないが、そういう人にはもっと手軽かつ確実な処方箋として「低所得者層への直接給付」をオススメしたい。

   給付付き税額控除(「負の所得税」とも)といったもので、一定の水準を下回る人には所得税を徴収するのではなく、現金を給付するという仕組みだ。すでに複数の先進国で導入済みの制度である。

   これなら本当に時給が上がるかどうか「いちかばちか企業に丸投げする」ような、最低賃金の引き上げと違い、低所得者層に確実に現金が届くことになる。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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