2024年 4月 20日 (土)

「上司が認めた子連れ出勤に同僚が激怒」専門職女性の投稿に賛否...... 専門家に聞いた

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「子連れ出勤」は賛成派と反対派で真っ二つ

――この投稿には対する意見は、「アシスタントを子守り扱いにした投稿者が悪い」「子供好きと言っておきながら無責任なアシスタントが悪い」「ほかの人材を育てなかった会社が悪い」という3つの見方に分かれています。それぞれの意見について、どう思われますか?

川上さん「どの意見も一理あると思いますが、事実が不明確なため、どの意見も決め手に欠けると感じます。投稿者が生後数か月の赤ちゃんを保育の素人に預けようとしたのであれば、それはそれで疑問に思います。しかし、『事情はすべて説明済み』というのが、アシスタントがベビーシッター業務も含めてできると承諾済みだったという意味であれば、アシスタントに非があるようにも思います。
   また、上司や会社に非がある可能性もあります。しかし、もし投稿者が育休中でも積極的に出社したいと主張したとか、会社側が投稿者の担当業務を他の人でも対応できるように体制を整えようとしたのに、投稿者が自分の仕事を奪われると解釈してしまい、それを回避したということであれば、一概に会社側を批判できないようにも思います」

――なるほど。単純に決めつけられないということですね。いずれにしろこれからは「子連れ出勤」が容認される時代がくると思いますが、その際、本人や会社側の注意すべき点は何でしょうか。

川上さん「子連れ出勤するご本人も、会社側も、子連れ出勤には賛否両論があるということを認識しておくべきだと思います。いま集計・分析中のデータですが、私たちが働く女性に『子連れ出勤をする側、同僚として一緒に働く側、それぞれの意識調査』を行なったところ、自分が子連れ出勤することに賛成の人は43.8%(反対56.2%)、一方、同僚として子連れ出勤者と一緒に働くことに賛成の人は55.1%(反対44.9%)でした。
意見が真っ二つに分かれている難しい問題なのです。今回の投稿では、上司がどの程度社内に周知したかはわかりませんが、簡単な周知だけにとどめず、環境整備や反対派の感情面への配慮も含め、事前に社内全体の十分な合意が得られた状態をつくっておくことが望ましいと考えます」

――「こういう時こそ、投稿者の夫が赤ちゃんの面倒をみるべきだ」とか「アシスタントが男性なら子守りを頼んだか?」といったジェンダー面での問題を指摘する意見も目につきました。

川上さん「そもそも女性である投稿者が無理をしてお子さん連れで出社しているように見えることから、女性だけの問題になってしまった印象を受けます。もちろん、男性も含めた働く人全体で考えるテーマだと思います。
家事×育児×仕事、すべてを一人で背負い込んでいるのか、投稿の端々から気持ちのゆとりのなさを感じます。前日深夜に決まった朝一番の会議に育休中でも出席しなければならないほど責任ある仕事。さらにアシスタントの顔色までうかがわなければならないとしたら、精神的負担はかなりのものでしょう。ご本人はもちろん、夫や家族、会社など、周囲の理解と適切でイーブンな協力体制が何よりも重要なのだと改めて考えます」

(福田和郎)

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