2019年 11月 13日 (水)

「ウチの経営者は常識を外れている」芸人にそう思わせた吉本興業の時代錯誤な「親子」関係(大関暁夫)

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   お笑い芸人の「闇営業」問題が巷を賑わせています。

   いろいろと新たな展開に入り混乱を極めていますが、ここでは企業経営の観点から、一企業としての吉本興業の立ち振る舞いについて考えてみたいと思います。

  • 所属芸人の「闇営業」問題で記者会見を開いた吉本興業の岡本昭彦社長(2019年7月22日撮影)
    所属芸人の「闇営業」問題で記者会見を開いた吉本興業の岡本昭彦社長(2019年7月22日撮影)

吉本芸人のギャラは安い!?

   問題になっている「闇営業」とは、所属事務所を通さずに仕事とその報酬を受けることで、基本的にはルール違反とされる行為です。ただし、今回問題視されたのは「闇営業」そのものではなく、「闇営業」で仕事と報酬を受けた先が反社会的勢力であったという点です。

   コンプライアンスを重視する昨今の風潮から当然、社会的批判は免れないものであり、該当する芸人たちの謹慎処分そのものは至極妥当な処分であったとは思います。

   しかし、所属事務所の会社経営の観点から問題がなかったのかと言えば、そこには疑問が残るところかと思います。今回、反社会的勢力に対する「闇営業」で謹慎処分を受けた芸人の大半は、吉本興業の所属でした。吉本興業といえば、関西を地盤としながらもお笑い業界では圧倒的な勢力を持つ業界最大手であり、テレビでその所属芸人を見ない日はないと言っていいほどの存在感を誇っています。

   コンプライアンス教育も定期的に行ない、「闇営業」がなぜいけないのか等々についてもしっかり徹底していた、と会社側は話しています。それなのに、なぜ今回のような事件が起きてしまうのでしょうか。

   吉本興業の所属芸人のあいだで言われているのは、そのギャラの安さです。テレビなどで頻繁に見かけるような売れっ子芸人や一部の大物を除いては、アルバイトをしないと食べていけない、という現実があるようです。

   その原因は、事務所と芸人のギャラの取り分です。正確な比率は芸人にも公表されてはいないものの、7割~9割が事務所の取り分と言われ、他の事務所のそれとは大きな開きがあるのだと。この状況下では、「闇営業」が吉本芸人たちのアルバイトと同等に位置する文化が根付いていたとしても、まったく不思議ではないと思います。

   「闇営業」は事務所に取り分を持っていかれない100%自分の収入になる「割のいいバイト」なわけですから、それが魅力的に写るのはあたり前の話であるように思えます。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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