2019年 8月 19日 (月)

その94 「90度の長ったらしいお辞儀」の謝罪会見 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   「かんぽ生命」の保険販売でお客が損害を受けた問題で、日本郵政グループの日本郵政、日本郵便、かんぽ生命保険の3社の社長が2019年7月31日、東京都内で会見した。

   冒頭、グループのトップである日本郵政の長門正貢社長が「ご迷惑、ご心配をおかけし、お客様に深くおわび申し上げます」と謝罪した後、3人の社長がいっせいに深々と、そして長々と頭を下げた。

  • 90度のお辞儀を10秒近く続ける日本郵政グループの3社長。(2019年8月1日付の毎日新聞朝刊から)
    90度のお辞儀を10秒近く続ける日本郵政グループの3社長。(2019年8月1日付の毎日新聞朝刊から)

お辞儀なんて45度も腰を曲げれば「最敬礼」の類

   お辞儀の角度は90度の直角。頭を下げている時間は1秒、2秒......5秒、6秒...... ほぼ10秒に近かった。

   3人の社長はそろって頭を下げている間、いったい何を考えているのだろうか? 僕はぼんやりとそんなことを考えながら、テレビで3人の頭のてっぺんを眺めていた。

   翌8月1日にはセブン&アイ・ホールディングス(HD)がやはり東京都内で会見した。7月1日に始めたばかりのセブン-イレブンのスマホ決済「セブンペイ」で、不正アクセスが多発し、お客に損害を与えてしまった。このため、セブンペイを9月末で廃止することになり、その謝罪会見だった。

   ここでも、まず「ご迷惑とご心配をおかけしたお客様におわび申し上げます」という発言の後、セブンHDの副社長ら4人が深々と頭を下げた。やはり90度で、その時間はかんぽ生命よりはやや短く、6秒か7秒だったが、長いことには変わりはなかった。

   いつごろからだろうか、企業などの謝罪会見で「90度の長ったらしいお辞儀」をよく見かけるようになった。すっかり「定型化」しているみたいである。

   そもそもお辞儀なんてものは、45度も腰を曲げれば「最敬礼」の類いだろう。それを1秒か、せいぜい2秒も続ければ、立派なものである。それなのに、90度で時には10秒近くも頭を下げ続けるなんて、どういうことなのか?

   謝罪する側としては、そのほうが「本気」で謝っていると思ってもらえると考えているのだろう。でも、お辞儀の前のおわびの言葉を聞いていると、とてもそのようには思えない。

お客は「心配」どころか、怒り狂っている!

   たとえば、かんぽ生命は「お客様にご迷惑をかけた」と言っているけれど、保険料を二重払いさせたりしたのが、単なる「ご迷惑」程度のことなのか。そんな表現では済まない「詐欺まがい」の行為ではなかったのか。

   また、「ご心配をかけた」とも言っているが、お客は「心配」どころか、怒り狂っているはずである。

   そのように考えてくると、あの長ったらしい90度のお辞儀には、心からの誠意が感じられない。頭さえ下げておけばいい――。そんな、お客を小馬鹿にしたパフォーマンスとしか思えないのである。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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