2019年 12月 6日 (金)

【日韓経済戦争】ユニクロ閉店3店目、「戦犯企業」公的不買運動まで...... 韓国紙を読み解く

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   「日韓経済戦争」は2019年8月21日、日本の河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相が会談したが、1か月ぶりの対話を通じて、解決の糸口は見いだせたのだろうか。

   両国政府の思惑をよそに、韓国国内では「反日」の動きがどんどんエスカレートしている。韓国紙から最新情報を読み解くと――。

  • 日本のたばこの不買運動を呼び掛ける韓国の葉たばこ農家の組合(聯合ニュース8月20日付より)
    日本のたばこの不買運動を呼び掛ける韓国の葉たばこ農家の組合(聯合ニュース8月20日付より)

ユニクロ3店目閉店、安倍内閣は「影響ない」というが......

   呆れたことに、今回の「日韓経済戦争」では日本企業はまったく影響を受けていないというのが日本政府の公式の立場だ。政府は2019年8月15日、「日本企業への経済的影響は現時点で確認されていないうえ、想定もされないが、今後注視したい」とする答弁書を閣議決定した。立憲民主党の宮川伸衆議院議員の「日本企業に経済的影響が出ているのか。政府の見解を質したい」とする質問主意書に答えたものだ。

   しかし、実際は韓国に進出している日本企業の多くが悲鳴を上げている。なかでも反日運動の標的にされたユニクロが、とんでもないことになっている。聯合ニュース(2019年8月18日付)「ユニクロ ソウルでさらに1店舗が閉店へ」がこう伝えている。

「ユニクロのソウル・月渓店が来月(9月)15日に閉店することが18日、わかった。背景には不買運動による売り上げの低下があるとの声もあるが、ユニクロ側は、閉店は不買運動とは無関係だと否定した。ユニクロ関係者は『(同店が入っているスーパー大手の)イーマートが不買運動前の今年5月、衣料売り場のリニューアルを行うと通知した』として、『条件が合わず、来月に営業を終了することで合意した』と説明した」

   ユニクロはソウル中心部にある鍾路3街店も、賃借契約満了を理由に10月に閉店する。ソウル南西部にある九老店も8月31日に営業を終了するから、今回で3つ目の閉店になる。ユニクロは現在、韓国全土に約190店舗を展開しているが、さらに深刻な事態の続報が飛び込んできた。

   中央日報(8月20日付)「売り上げマイナス70%急落の韓国ユニクロ、結局全職員に有給休暇検討」が伝える。

「ユニクロが全職員を対象に有給休暇を検討することが分かった。予想以上の深刻な売り上げ下落を記録し、経営計画に支障をきたしているためだとみられる。ユニクロを運営するFRLコリアの職員数は昨年基準5403人だ。流通業界によると、先月(7月)の売り上げが70%急減、自己救済策づくりのために全職員を対象に有給休暇を検討している」
「業界関係者は『売り上げが深刻に落ち込んだユニクロ内部からさまざまな対策が出ている状況』としながら、『あまりにも注目を受けているため、他のイシュー(問題)を作ってしまうのではないかと心配で、どうすることもできなくなっている。このため無給休暇ではなく有給休暇で大枠を決める雰囲気』と話した」

2.5倍ペースで急成長していた「たばこ」も大打撃

ホントに「影響はない」のか?(写真は、安倍晋三首相)
ホントに「影響はない」のか?(写真は、安倍晋三首相)

   不買運動はたばこにも飛び火した。聯合ニュース(8月20日付)「JTたばこの輸入量減少 不買運動の影響か」がこう伝える。

「日本製品の不買運動が、日本ブランドのたばこにも及んでいる。韓国関税庁の輸出入貿易統計によると、7月にフィリピンから韓国に輸入された紙巻きたばこは、前月比7.3%減少した。フィリピンから輸入するたばこは、ほぼ全量がJTインターナショナル(JTI)製と見なすことができる。同社は『メビウス』『キャメル』などを販売する日本たばこ産業(JT)の海外たばこ事業を担っており、韓国で販売するたばこをフィリピンで生産している」

   韓国のたばこ小売では、JTIはほぼ10%台を占め、4番目の消費量を誇っている。特に最近は、2017年に2085トン、2018年は4974トンと2.5倍のペースで急成長していた。それが、突然ブレーキがかかった形だ。JTIコリアは7月に予定していた加熱式たばこの新製品発売イベントを「内部の事情」を理由に延期した。JTIコリアは、聯合ニュースの取材に「(不買運動が)関連があるかどうかは言いにくい」と口を濁した。下手なことを話すと、ユニクロの二の舞になるのを恐れているのだ。

   日本への旅行客も激減している。その煽りを受けたのが韓国の航空業界だ。聯合ニュース(8月20日付)「大韓航空が日本路線を大幅削減へ 需要減少受け」が伝えている。

「韓国航空大手の大韓航空は8月20日、韓日関係の冷え込みによる日本路線の需要減少を踏まえ、一部路線の供給を調整すると発表した。日本路線を大幅に減らし、東南アジアや中国路線を増やす計画だ。韓国と日本を結ぶ路線について、同社は9月から、週14往復運航する釜山―大阪線の運休に入る。11月からは、週3往復運航する済州―成田線と週4往復の済州―大阪線も運航を休止する」

   また、週3往復運航する仁川(ソウル)―小松線と仁川―鹿児島線、週5往復の仁川―旭川線も9月から一時的に運航を取りやめる。減便する路線も多い。仁川―大阪線、仁川―福岡線、仁川―沖縄線、釜山―成田線、釜山―福岡線をそれぞれ6割~5割減らす計画だ。こうして日本路線の削減で生じた供給力をフィリピンやベトナム、タイ、インドネシア、中国路線に振り向ける。韓国からの訪日客に頼ってきた日本各地の観光関連業者が受ける打撃も、「想定されない」と安倍内閣は言うのだろうか。

ついに「食品の放射能汚染」カードを切った韓国

   一方、韓国側の日本への「報復カード」もここ1週間、2枚の切り札に絞られてきた形だ。1枚目は「放射能汚染検査」である。すでにJ-CASTニュース会社ウォッチでは、2019年8月7日付「【日韓経済戦争】危険水域に 奥の手『放射能汚染』と『竹島』で報復する韓国」で、韓国政府が石炭火力発電の廃棄物である日本産石炭灰を輸入する際、放射能の安全検査を大幅に強化する策に出ることを報じた。ここにきて、さらに手が込んできた。きっかけは最近、国際環境団体「グリーンピース」の原子力専門家がエコノミスト誌に「安倍内閣と東京電力が福島第1原発にある高濃度放射能汚染水100万トン以上を太平洋に放出する計画を推進している」と寄稿したことだ。

   日本政府は「国際社会に説明する」としたが、韓国政府は勢いよく飛びついた。ハンギョレ(8月20日付)「韓国政府、日本政府に福島の汚染水の処理計画に関する説明を要求」がこう伝える。

「韓国政府は、日本の福島原発の汚染水問題と関連し、8月19日に在韓日本大使館の西永知史公使を呼んで、汚水処理計画に対する日本政府の公式回答を求めた。政府は口述書(外交文書)を渡し、『福島原発汚染水の処理結果が両国国民の健康と安全、さらには海でつながった国全体に及ぼす影響を非常に厳重に認識している』と明らかにした」
「さらに、国際環境団体の主張の事実関係の確認と今後の処理計画などに対する日本政府の公式回答を要請した。特に、汚染水海洋放流計画があるかどうか、さらに、国際社会にも福島原発処理計画などを含めた対策をより透明かつ具体的に説明してほしいと要求した」

   この要請以前に、韓国政府は石炭灰以外の輸入品の放射能検査強化を打ち出しているのだから、「グリーンピース」の件は渡りに船だったのだ。ハンギョレ(8月17日付)「韓国政府、日本産石炭灰に加え、リサイクル用廃棄物3品目の放射能審査を強化」がこう伝える。

「韓国政府は石炭灰に続き、廃バッテリーや廃タイヤなどリサイクル用の輸入廃棄物に対する通関手続きも強化することにした。これら輸入廃棄物のかなりの部分が日本産であることから、日本の経済報復に対抗した『反撃カード』と見られる。環境部のキム・ドンジン報道官は『今回の措置が国民の安全と環境保護のためのもので、特定の国と関係があるわけではない』と線を引いたが、日本を狙った対応というのが大方の評価だ」

   そして8月21日、韓国政府は「輸入食品の放射能汚染に対する検査の回数を2倍に増やす」と発表した。「特定の国は対象にしていない」というが韓国紙は一斉に「日本産の輸入食品を対象にした報復措置」と報道した。

   この「放射能汚染カード」は、政府間の対立と関係ないはずの東京五輪・パラリンピックの場でも切られている。聯合ニュース(8月21日付)「東京五輪団長会議 韓国が放射能・食の安全など問題提起」が伝える。

「2020年東京五輪に向け、各国の国内オリンピック委員会代表らが集まる選手団長会議が8月20日に東京都内で始まった。韓国から出席した大韓体育会は、東京電力福島第1原発事故があった福島県の近隣競技場に対する放射能汚染の影響や、選手団が利用する食堂の食材供給などの安全性について東京大会組織委員会に質問した。これに対し、同組織委は安全な食材調達に努めているとし、韓国が問題提起した内容は事実でないと否定した」

   ところが、大韓体育会は納得せず、「22日の会議でもこの問題をあらためて取り上げ、選手団の安全確保を求める考えだ」というからしつこい。そればかりか、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、「専門国際機関に調査させて、放射能問題の安全性について信頼できる情報を提供するよう強く促す」という。

地方自治体にまで広がる「戦犯企業」不買運動

韓国・文在寅大統領
韓国・文在寅大統領

   韓国が突きつけるもう一枚の切り札は、民間だけではなく、官公庁による組織ぐるみの日本製品不買運動だ。

   すでに8月12日、与党・共に民主党が、政府機関が日本の戦犯企業と随意契約を結ばないようにする措置の立法化を打ち出している。これは、日本の三菱、日立、東芝など「戦犯企業」から政府機関が物品を購入できなくするよう国家契約法を改正するというものだが、この動きが地方自治体に広がっているのだ。韓国経済(8月15日付)「日本戦犯企業製品の公共購入を制限」がこう伝える。

「韓国の全国広域地方議会が日本戦犯企業製品の公共購入を制限する条例を制定することにした。全国17の広域市・道議会で条例案をすでに代表発議している議員20人余りは8月14日、記者会見を開き、このような内容の条例案制定を推進すると明らかにした」

   条例案のポイントは3つだ。(1)日本戦犯企業の定義、(2)日本戦犯企業製品の公共購入制限対象機関と金額、(3)日本戦犯企業製品の公共購入自制に対する基本計画樹立、などだ。すでに、ソウル市議会や世宗(セジョン)市議会などでは条例案が発議されており、釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・光州市(クァンジュシ)議会などでも発議される予定だという。

(福田和郎)

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