2020年 6月 2日 (火)

日米の金融政策で見る政治との距離 「トランプ圧力」跳ね返すFRB、安倍首相に「忖度」する日銀(鷲尾香一)

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パウエルFRB議長の「利下げ打ち止め」宣言

   しかし、3回連続の利下げをもって、パウエル議長は「利下げ打ち止め」の環境が整ったと判断。トランプ大統領の執拗な「圧力」を跳ね返した。それは、中央銀行の独立性に対する政治的な圧力に対する姿勢の表れでもあっただろう。

   もちろん、今回利下げを打ち止めたからといっても、今後も利下げしないということではない。FRBは、今後、米国の経済状況次第では躊躇なく利下げを実施するだろう。

   翻って、日銀はどうだったのか。

   日銀は10月31日の金融政策決定会合で、政策金利を据え置き、現状の金融政策の維持を決めた。しかし、政策金利のフォワードガイダンス(政策方針)を変更し、政策金利引下げの可能性を改めて示唆した。

   「日本銀行は、政策金利については、『物価安定の目標』に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。」これが、日銀が公表したフォワードガイダンスだ。

   思い起こせば、日銀は9月の金融政策決定会合でもフォワードガイダンスを変更している。それまでの「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれが高まる場合には、躊躇なく、追加的な金融緩和措置を講じる」を「物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれに、より注意が必要な情勢になりつつある。次回の会合で経済・物価動向を改めて点検していく」と、表現を強めたのだ。

   そして、今回もフォワードガイダンスの変更にとどめ、金融政策は変更しなかった。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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