2019年 11月 20日 (水)

子どもの発熱でよく休む時短ママ、同僚の「夫に休んでもらうわけにいかないの?」に大ショック 専門家に聞いた!

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   3人の小さな子を持つ時短勤務のママは、子どもの病気でよく休んでいた。そのたびに同僚女性が彼女の代わりに出勤し、カバーしてくれていた。1年後、その心優しい同僚女性が発した一言に彼女はショックを受けた。

「お子さんが病気の時、ご主人に休んでもらうわけにいかないの?」

   ああ、同僚はそんなふうに思っていたのか! しかし、彼女には夫に育児を負担してほしくなかった。なぜなら、夫はやっと出世の機会を得たばかりだから――。

   この時短ママの投稿が「自分勝手すぎる!」と大炎上している。一方で、「会社の業務体制に問題がある」と擁護する声も。専門家に聞いた。

  • 子どもはすぐ熱を出しやすい(写真はイメージ)
    子どもはすぐ熱を出しやすい(写真はイメージ)

時短ママ「やっと出世の機会をつかんだ夫に頼めない」

   話題になっているのは女性向けサイト「発言小町」(2019年10月13日付)に載った「同僚に言われました」というタイトルの投稿だ。

「育休から復帰した時短勤務の正社員です。子供は未就学児3人。同じチームには私と同僚が正社員、ほかに3名パートさんがいます。基本的に正社員のどちらかは出勤しなくてはいけないのですが、私の子供が交代で熱を出し、毎週休んでしまっています。私が急きょ休む日に彼女が休みの場合は出勤してもらわなくてはならず、本当に申し訳なく思い、毎回すごく謝っています」

   こんな状態が1年続いたある日、同僚がこう言ったのだった。

「子どもが熱を出した時、旦那さんにお休みしてもらうことは出来ないの?」

   同僚が嫌な顔ひとつせず出勤してくれていたと思っていた投稿者はショックを受けた。「本当はずっと不満だったのか」と心に刺さった。しかし、投稿者はこう結ぶのだった。

「夫は本社に栄転したばかり、仕事に専念できるよう応援したいし、育児のことで『どちらがやるか』でもめたくないので、本当は負担して欲しくありません。夫も負担すべきと頭ではわかっているけど、なかなかできません。気の持ちようをアドバイスいただければと思います」

   この投稿には、

「自分勝手すぎる! 同僚がかわいそう」
「旦那にはっきり言うべきだ!」

という意見が大半を占めた。

「同僚の方、本当にお辛いでしょうね。自分の体調が悪くても、用事があっても出勤しなくてはいけないなんて。謝られても困りますよね。予定どおり休ませてほしいですよね」
「同僚に思いっきり迷惑かけて、旦那の出世を応援できるのって、どういう神経なの? 家庭の事情を持ち込みすぎですよ。いっそパートになるか、辞めてしまったらどうですか。代わりの人員を探した方が同僚はもちろん、会社のためでしょう」
「このご時世、未就学のお子さん3人を育てながらの共働きは立派だし、本当に大変ですね。でも、それならなおのこと、ご主人も休みを取るべきではないですか? 本社栄転だから、頑張ってほしいから、といいますが、今は男性も育児を負担するのが時代の流れです。共働きとはどういうことか、本人のみならず本社の職場にも理解してもらう必要があるのでは?」

   また、ファミサポ(ファミリーサポート)や病児育児など、お金を使ってあらゆる支援を受けるべきだという意見が多かった。

「私も2人子育てしました。熱はしょっちゅう出しました。保育園だけでは無理なので、病児保育の無認可保育園を3か所併用しながら乗り切りました。ご主人が栄転したのなら、お金で解決すべきでしょう。子供が小さい時は、妻の給料はすべて保育料にする覚悟くらいがよいのではないでしょうか」
「あなたに必要なのは『気の持ちよう』ではなく、『自分たち(または自分たちのお金)で何とか解決すること』です。夫はもとよりお互いの両親・姉妹・兄弟を頼る、ファミサポ、病児・病後児保育、シッターなど使えるものはなんでも使うくらいでないと、幼児3人の共働きは厳しいです。旦那さんと向き合って、どこまで協力しあえるか、よく相談することをお勧めします」

「ファミサポ、シッター、病児保育...... すべてを使うべき」

   一方で、非常に少数だが、「そもそも業務体制に無理がある」「上司に掛け合ってはいかが」というアドバイスもあった。

「仕事の割り振りの話ですから、職場の上司にまず『時短とフルタイムの正社員2人だけでは回りません』と掛け合ってみてはいかが。個人的な問題と受け止めているようですが、組織運営的な解決が必要です。育児期間中の時短勤務の人には、あなたのような事例は珍しくありません。とにかく自分だけで何とかしようと抱え込まないでください」
「同僚の方は、よく1年も我慢したな、優しい人だなと思います。結局、社員の数の問題なので、あなたが全く気にしないでいいと言うわけではありませんが、考えないといけないのは会社のほうです。同僚を苦しめるのがつらすぎるのなら、同僚のためにも会社にきちんと相談すべきです」

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、この「旦那さんに休んでもらえないの?」論争の意見を求めた。

――今回の投稿に対する反応を読み、率直にどんな感想を持ちましたか?

川上敬太郎さん「投稿者さん自身も大変だったかと思いますが、1年ものあいだ我慢してきた同僚の方の心身の健康が心配になりました。かなり大きなストレスが溜まっているのではでしょうか。もし、同僚の方のモチベーションが下がったり体調を崩したりして、退職するようなことになった場合、投稿者さんの職場はどうなってしまうのか。早々にメスを入れないと、現状のまま放置しておくのはとても危険だと感じます」

――問題の背景の一つには、投稿者の夫が、小さな子が3人もいるのにまったく育児協力をしないこと、それ以上に投稿者自身に夫の出世のために、あえて育児を全部自分が担おうとする意識があるように思います。

川上さん「昨年(2018年)の終わり、仕事と家庭の両立を希望する働く主婦層に、2018年を振り返って夫は家事・育児に十分取り組んでいたと思うかについて調査しました。夫が家事・育児を十分に協力してくれて『満足した』と答えたのは21%だけで、52%が全く協力しない、あるいは少ししか協力せず『不満だった』と回答したのです。つまり、妻が働いているにもかかわらず、夫の半数以上が家事・育児に協力していない現実が浮かび上がったのです。
投稿を読む限り、投稿者さんは自ら進んで育児を引き受けようとしているので、夫が家事・育児をしなくても不満はない(その分仕事に集中して欲しい)のかもしれません。しかし、『育児のことで夫ともめたくない』とも書いているので、心の奥底では夫に育児をして欲しいと思っていても、その気持ちを出さないようにしているのかもしれません」

――投稿者を批判する意見の大半は「同僚に迷惑をかけていることを、夫に言うべきだ」「3人の子の父親なのだから、育児を夫にも負担させるべきだ」という意見です。このことについてはどう思いますか?

川上さん「誰が育児をするかは、ご家族ごとの考えがあるかと思います。ただ、夫に相談しないまま、現状を改善できるのかは疑問です。また夫としても、同僚に迷惑がかかっていると聞けば、そのままでよいとは思わないでしょう。妻が同僚によく思われていないとしたら、その状況は夫にとってもつらいはずです」

「育児を経験すると、夫自身のマネジメント能力が磨かれる」

――しかし、投稿者の意識は「夫が本社に栄転したばかりで応援したい」「育児のことでもめたくないので、負担してほしくない」というものです。こうした考え方についてはどう思いますか?

川上さん「夫がつかんだチャンスを応援したい、仕事に集中させてあげたい、というのは健気な思いなのだと感じます。しかし、健気だから同僚に迷惑をかけてもよいはずはありません。ワガママととらえられても仕方がないと思います。一方で、ただでさえ3人の未就学児を育てるのは大変なのに、仕事もしている中で、夫に心配をかけたくないと投稿者さん一人で悩みを抱え込んでしまうと、投稿者さんの心身の健康にも影響が出てしまわないか心配です。
また、気になるのは、投稿者さんが時短勤務であっても問題なく業務が回るよう配慮された上で業務体制が設計されていたかどうかです。もし上司や会社側が運用を正社員2人に任せきりにしてきたのだとしたら、そもそもの業務体制に無理があったように見えます」

――なるほど。確かに少数ですが、「少人数なのに、正社員のどちらかが出てこなくてはいけないという会社の体制にも問題がある。上司に掛け合うべきだ」という意見もありました。

川上さん「業務体制の構築は本来、投稿者さんが職場復帰する前に解決されていなければならない問題です。事前の業務設計が不十分だった可能性は否定できません。投稿内容を見る限り、職場の業務体制はいつ破綻するかわからない危機的状況にあります。そしてその状況が1年も放置されています。上司や会社はその状況を一人で支えてきた同僚の方の負荷を速やかに軽減してあげてほしいと思います」

――一方で投稿者側の具体的な解決策として、「病児保育、ファミサポを利用する、夫婦の親兄弟姉妹親戚に頼る、病児シッターを雇う...」といった方法を提案する声もあります。川上さんなら、投稿者にどんなアドバイスをしますか?

川上さん「投稿者さんが対処策を検討する上で、踏まえておくべき観点が3つあります。一つ目は、すでに待ったなしの状況だと認識すること。これ以上同僚に負荷がかかる状態は避けなければなりません。もはや状況は投稿者さん自身の気持ちの持ちよう云々の次元ではありません。職場の当事者の一人として、業務体制の崩壊が迫っているという危機意識を持つ必要があります。
二つ目は、業務における改善策を図ることです。今後も当面は、お子さんが熱を出す可能性があると思います。その際の業務カバーをどうするのか。同僚の方にカバーしてもらう以外の方法を考える必要があります。急な休みでも大丈夫なように業務のやりくりを試みたり、上司に業務体制の見直しを依頼したり、在宅勤務でも対処できる仕組みを検討したり、といったことが考えられます。
三つ目は、休まなくて済む育児カバー体制をご家庭内で構築することです。多くの人がアドバイスしているように、外部の力を借りることも一つですし、夫に育児に関わってもらうことも一つです。投稿者さんは、夫が育児をカバーすると夫の仕事に支障をきたすと考えているようですが、一方的な決めつけになっている可能性もあります」
「もし夫の会社で男性の育児に対する意識改革を課題視していれば、育児に携わりながら仕事で成果を出す方が、むしろ夫の評価が高まることも考えられます。また、夫が育児を経験することで、夫自身の職務遂行能力やマネジメント能力がさらに磨かれる可能性もあります。まずは、夫の意見を聞いてみてはいかがでしょうか」

(福田和郎)

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