2020年 4月 9日 (木)

安倍政権の「イチオシ政策」に打撃! 海外報道で見えた「カジノ誘致」の意外な一面(井津川倫子のニュースな英語)

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   年の瀬に、ビッグニュースが飛び込んできました!

   カジノを含むIR、統合型リゾートをめぐり、中国企業側から現金300万円などを不正に受け取っていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部が自民党(すでに離党)の秋元司衆院議員を逮捕したのです。

   カジノ誘致を進める見返りに賄賂をもらうとは、なんとまあ「わかりやすい汚職事件」でしょうか。海外メディアがこぞって報じたこのニュース。さぞかし日本のカジノは「おいしいビジネス」なのかと思いきや、意外な反応が見えてきました。

  • カジノで大儲けするのは誰だ!?
    カジノで大儲けするのは誰だ!?

英テレグラフ「安倍首相とのつながり」連想させる

   日本国内への進出を狙う、海外カジノ企業による贈収賄事件。各国メディアの注目度も高いようで、続々と「速報」として大きく取り上げられました。

Japan MP arrested on suspicion of taking casino bribe 
(日本の国会議員がカジノをめぐる賄賂を受け取った疑いで逮捕された:BBC)
MP: Member of Parliamentの略、国会議員、下院議員、代議士
on suspicion of:~の疑いで bribe:賄賂

   見出しにはメディアの姿勢がよく現れるものですが、同じ英国メディアでもテレグラフ紙の見出しは「安倍首相とのつながり」を連想させる表現になっています。

Senior member of Shinzo Abe's Liberal Democratic Party arrested over casino bribery allegations.
(安倍晋三首相率いる自民党の代議士が、カジノをめぐる賄賂疑惑で逮捕された:The Telegraph)
allegations:疑い、疑惑

   各国の報道で共通していたのは、「今回の秋元氏の逮捕で、安倍政権が成長戦略のキモと位置づけるIR事業が打撃を受けるだろう」という「見立て」です。どのメディアも、厳しい見通しを「冷ややか」とも受け取れるトーンで伝えています。

   「現職の国会議員逮捕!」よりも、「安倍政権イチ押し事業に暗雲」のほうがニュースバリューは高かったようです。

His arrest could complicate Mr. Abe's controversial policy on casinos
(彼の逮捕は、安倍氏の物議を醸しているカジノ政策を面倒にするだろう:BBC)
complicate:複雑にする、面倒にする
controversial policy:物議を醸し出す政策

   今回の海外報道を見ると、カジノ誘致を核とする日本のIR事業が彼らの目にどのように映っているかがよくわかりました。すなわち、日本政府はカジノ誘致に前のめりだが、日本人はギャンブルに対して「seedy image(あやしげな印象)」を持っている。世論調査でも多くの国民はカジノ誘致に反対をしている。もともと「controversial policy(物議を醸し出す政策)」だったので、今回の秋元氏の逮捕が国民感情に与える影響は大きいだろう、と伝えています。

   次の英テレグラフ紙の一文が、見事に彼らの「見立て」を表していると言えるでしょう。

The arrest could harden opposition to casinos, which have been consistently unpopular in Japan despite the government's push.
(今回の逮捕で、政府の強力な押しにも関わらず、もともと不人気だったカジノ誘致に反対する声が高まるだろう:The Telegraph)

日本のカジノ「おいしい」のは政治家だけか?

   じつは以前から、日本のカジノ誘致に対する海外メディアの反応は少しずつ変わっていました。米国のブルームバーグ通信社が、「A Gambling Prize Worth Billion Is Losing Its Luster in Japan(2兆円規模の日本カジノ市場が、輝き失う)」と題した記事を配信していたほどです。

   記事を読むと、日本への参入を切望していた海外のカジノ運営会社の幹部たちが、「果たして、日本へのカジノ参入はおいしいビジネスなのか?」という疑問を抱き始めて、実際に撤退を決めた企業もあるそうなのです。

   200億ドル(約2兆2000億円)規模とも見込まれる日本のカジノ市場は、当初は「光り輝いて見えた」ものの、認可プロセスが他国より難しく、さらに税制も不明な点が多い。しかも日本でのIR建設は他国の何倍ものコストがかかることから、「unsavory side of gambling industry(ギャンブル産業のまずい側面)」が浮かび上がってきているというのです。

   「投資コストに見合わないならば参入しない」という運営会社CEOのコメントも紹介されていて、いったい誰のためのIR戦略なのかと不思議に思ってしまいました。

   それでは、ここで「今週のニュースな英語」です。今回の「秋元氏逮捕報道」に登場する基本的な英語表現をご紹介します。

IR:Integrated Resortの略。統合型リゾートという意味。

Prosecutors arrested the lawmaker, Tsukasa Akimoto
(検察が秋元司議員を逮捕した)
prosecutors:検察
lawmaker, a member of Japan's Parliament:国会議員
arrest:逮捕する

   「賄賂を受け取った容疑で」という逮捕理由を後に付けてみましょう。

Prosecutors arrested the lawmaker, Tsukasa Akimoto, on suspicion of taking bribes.
(検察が賄賂を受け取った疑いで秋元司議員を逮捕した)
on suspicion of:~の疑いで

Mr. Akimoto has denied wrongdoing.
 (秋元氏は犯行を否定している)
 deny wrongdoing:犯行を否定している
Abe government regards the casinos as a way to boost Japan's economy
(安倍政権は、カジノは日本経済を押し上げる策だと見なしている)
boost:押し上げる

   海外メディアの報道から、日本の姿を知ることがよくあります。今回の報道を見ると、日本へのカジノ誘致で「おいしい思い」をするのは、日本の政治家だけのような気がしてきました。

   2020年も、こういった客観的な海外報道の「見立て」をたくさん紹介していきたいと思います。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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