2024年 4月 30日 (火)

【日韓経済戦争】「NOジャパン」から「NOチャイナ」に!新型肺炎で「中国人ボイコット」が燃え盛る韓国 韓国紙で読み解くと――

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もし新型肺炎の発生地が日本だったら?

   ところで、今回の「NOチャイナ」運動、興味深いことに韓国紙の社説でも左派系と保守系で論調が真っ二つに分かれているのだ。

   左派系のハンギョレ(2020年1月29日付)「社説:新型コロナ恐怖あおる『フェイクニュース』と『ヘイト表現』を憂慮する」は、オーソドックスに中国に対する偏見をやめようといさめる内容だ。

「根拠のないフェイクニュースや歪曲された情報が氾濫し、甚だしくは中国人フォビア(嫌悪)現象まで現れていることは憂慮される。むしろ、このような反応が、新型コロナの拡散阻止の妨げになる恐れがある。今回の事態が、発生地と目される武漢、さらには中国に対する嫌悪へと拡大しているあり方は決して望ましいものではない。大統領府の掲示板では、中国人入国禁止請願の署名者が50万人を超えた」
「しかし、中国人差別や出入国禁止のような措置が、かえって症状の申告を控えさせたり、(密入国など)検疫の死角地帯を拡大したりすることで、事態を悪化させるという専門家の指摘に耳を傾ける必要がある。一部からは(文在寅政権が)『武漢肺炎』という用語を使わないなどの理由で『事大主義』との非難があがっているが、差別をあおる単語を避けるのは常識であって、非難すべきことではない」

   ハンギョレは、韓国メディアでは珍しく新型肺炎について「武漢肺炎」という差別的な表記を使わない新聞だ。また、ハンギョレが支持している文政権も国民に「武漢肺炎」と呼ばないよう求めている。単に、WHOの勧告に従っているからなのだが、しかし、それを保守系メディアは「中国に対する弱腰」と批判するのだ。

   保守系の急先鋒、朝鮮日報(2020年1月29日付)「社説:『武漢肺炎』、反中は駄目だが与党は国民の健康から先に心配を」が、あえて「武漢肺炎」という言葉を使い、ハンギョレの論調にこう反論する。

「韓国与党・共に民主党の李仁栄(イ・インヨン)院内代表が、武漢肺炎の感染拡大について『困ったときの友人が本当の友人だ。このようなときほど韓中両国の国民が嫌悪感をあおるような行動は控えるべきだ』と発言した。武漢肺炎で中国人に対する無分別な嫌悪感をむき出しにするのは良くない。隣国として支援できることがあれば支援すべきだ」

としたうえで、こう釘を刺すのだった。

「しかし政府と与党は韓国国民の健康を優先する姿勢を示すべきだ。隣国への心配はその次にしてもよい。1月13~24日の間、武漢から韓国への入国者は3000人に達した。今後も韓国国内の感染者がさらに増える可能性も考えられる。このような状況で与党の院内代表が『中国は友人』と強調したため、『また中国の顔色をうかがっている』『国民の健康よりも中国との関係が優先か』といった不満の声も広がっている」

   そして、文政権が新型肺炎を「武漢肺炎」と呼ばないことについても、「中国への遠慮・忖度」だと批判するのだ。

「確かに、WHOは疾病の名称に特定の地域を明示しないよう勧告しているが、実際には『日本脳炎』『アフリカ豚コレラ』などすでに広く使われている言葉もある。(肺炎の発生地が)中国ではなく日本だった場合、大統領府はどうしただろうか」
「文政権は『東京五輪は放射能五輪だ』と主張しボイコットまでちらつかせている。(日本に対しては放射能汚染で強く出るのに)中国に対しては大気汚染問題ではまともに抗議さえしていない。文大統領は中国で意図的にぞんざいな扱いを受け、韓国を『小さい国』と侮辱されたこともあった。中国の前では常に小さくなる理由が気になるところだ」

と皮肉を利かせる。というわけで、今回の「NOチャイナ」問題でも、結局最後は日本に飛び火するのだった。

(福田和郎)

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