2024年 4月 20日 (土)

【襲来!新型コロナウイルス】在庫の山のアパレル業界にコメ兵が救いの手 店舗と通販でさばいて売り上げ増の「一石二鳥」となるか?

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   アパレル業界は、2019年10月の「消費増税」や「暖冬」により消費が冷え込むなか、さらに「新型コロナウイルス」の猛威による外出自粛や買い控えというトリプルパンチを受けて大ピンチに陥っている。多くの在庫の山を抱えて、資金難に苦しんでいるところが増えてきた。

   そんなアパレル業界を手助けしようと、中古ブランド品流通大手の「コメ兵」(名古屋市)が「一石二鳥」のアイデア商法に乗り出した。在庫を買い取りすぐに現金を払い、自社の店舗と通販でさばいて自社の売り上げも図るというのだが......。

  • アパレル業界には在庫がだぶついている(写真はイメージ)
    アパレル業界には在庫がだぶついている(写真はイメージ)
  • アパレル業界には在庫がだぶついている(写真はイメージ)

買い取った翌日の現金払いで資金繰り難解消

   コメ兵によると、アパレル企業の支援は3月19日から3月27日までの期間。ただし、感染拡大が終息の動きを見せないようなら延長する可能性もある。主に中小企業で、苦境に立たされている事業者の在庫を買い取り、すぐに現金で支払うのが特徴だ。通常の法人買い取りならば、3~5日後になるが、資金繰りに困っていることを配慮して、最短で翌営業日には現金を支払う。月曜日に買い取れば火曜日に、金曜日なら週開けの月曜日にといったスピードだ。

   また、査定も無料。そして、買い取った衣料品を一点一点検品して、コメ兵のオンライン通販や店舗で販売する仕組みだ=下図参照

   それにしても、売れ残ったらどうするのだろうか。コメ兵自身もリスクを抱えるのではないか――。J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に、同社営業企画部の広報担当、吉田浩之さんはこう説明した。

「こういうご時世ですから、困っている人々に会社として何か手助けはできないかと考えて、コメ兵の持ち味である良質なものを安く提供する販売方法を活用することを思いつきました。もちろん、ビジネスですから利益を少なからず生むことも優先させて、いい物、タイムリーな商品を中心に選びますが、困っている業者さんを相手にする以上、それ以外の物は受け入れないというやり方はイメージが悪くなるのでとらない考えです。仮に売れ残っても、名古屋本店では『グラム売り』といって、衣料品などを重さで売るサービスも行っていますので」

というのだ。

コメ兵もコロナで売り上げ96%減の大ピンチ

   コメ兵ではこれまで、買い取りは個人の持ち込みが中心だった。アパレルなどでは小規模な法人買いはあったものの、大規模の買い取りは今回が初めてだ。

   もう一つの狙いを、吉田さんはこう語った。

「アパレル業界はいま、売れ残った在庫の廃棄処分が『もったいない』と、社会問題になっています。少しでもコメ兵の販売網を活用してさばくことに協力できればと考えています」

   もちろん、必ずしもすべて社会貢献ばかりではない。じつは、コメ兵自身も新型コロナウイルスの感染拡大では大きな打撃を受けた「被害者」の立場だ。今年2月14日、2020年3月期の連結純利益が前期比96%減という大幅な下方修正を発表したばかり。昨秋の消費増税以降、店頭販売が落ちたところに、訪日観光客がバッタリ途絶えてダブルパンチを受けたのだった。だから、アパレル業界とは相見互いなのだ。

   吉田さんは、

「とにかく、物がないと売れないことは確かです。コメ兵としても、衣料品の仕入れがまとまってできることが大きいです。お互いに助け合って、少なからず利益を生むことも期待しています」

と語っていた。

(福田和郎)

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