2024年 4月 26日 (金)

少子高齢化の進展厳しく 環境変化で転換迫られるドラッグストア 将来はこう変わる

   ドラッグストアは、1970年代後半~80年代にかけ、コンビニエンスストアと相前後して登場。ともにバブル経済が弾けて以降に成長した小売業界の両雄といえる存在だ。

   そして近年はやはり、ともに社会の高齢化や人口減少に伴う環境の変化への対応に追われているのだが、とくにドラッグストアにとっては、今は「五重苦の時代」で、生き残りに厳しさを増しているという。

   本書「需要創造とソリューションを武器とする ドラッグストアの教科書」は、「ドラッグストア企業の栄枯盛衰をみてきた」という著者でコンサルタントの有田英明さんが、将来に向かってドラッグストアが行うべき変身を提案。人口減少、人手不足、ネット通販など、小売業界を通じて対策が求められている問題を幅広く論じており、広くビジネスの参考になりそうだ。

「需要創造とソリューションを武器とする ドラッグストアの教科書」(有田英明著)ダイヤモンド社
  • ドラッグストアは「安売りだけでは生き残れない時代」を迎えている
    ドラッグストアは「安売りだけでは生き残れない時代」を迎えている
  • ドラッグストアは「安売りだけでは生き残れない時代」を迎えている

成功法則が通用しない「五重苦の時代」

   これまでの約30年間、ドラッグストアが成長を遂げることができたのは、いくつかの成功法則があり、それらを忠実に実行してきたからだ。

   その一つは「食品の安売りなどで集客、利益商品のヘルスケア商品で稼ぐ」というもの。店内の奥のほうで、スーパーと同等かそれ以下の価格で販売する集客商品の食品を展開し、出入り口やレジ近くの客が目にしやすい場所に、利益率が高いヘルスケア商品、ビューティケア商品を配置するゾーニングが、その実行の代表例だ。

   ドラッグストアがいま直面している問題は、こうした成功法則が時代の変化で通用しなくなったということ。流通や卸売の進化・合理化で、品揃えが横並びとなりドラッグストア企業間での競争が激化する一方、同時に同じ理由で、安売りは他の業態の小売でも当たり前になった。また、スーパーやコンビニなどで、ドラッグストアの専売品だった生活必需品を守備範囲にするなどライバル関係が複雑化している。

   生活必需品については、アイテムごとの大量配置などドラッグストア業界特有のオペレーションを生かして安売りは今後も続いていくとみられるが、これからは人口が減る一方であり、それに伴い「生活必需品のマーケットは縮小する。安売りだけでは生き残れない時代」になっている。

   問題は、人口減少ばかりではない。ほかに、社会の高齢化に伴う「消費者の可処分所得の減少」や「深刻な人手不足」、デジタル化がさらに進むことによる「ネット販売の急伸」、業界内で、また他業態小売を相手にした「競争の激化」が、大きな影響をもたらすと考えられ、著者は人口減少とこれらを合わせて「五重苦」と呼ぶ。

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