2024年 4月 20日 (土)

若者に未来を! 政府のコロナ対策は「やりすぎ」 病気に勝って「経済で死ぬ」つもりなのか?(小田切尚登)

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新型コロナの隔離政策、じつは最大の効能は......

   新型コロナウイルスによる地域での死者が、このところ日々あたり数人あるいは10人以上報告されている。憂慮すべき事態に違いないが、日本でさまざまな要因で日々平均3000人以上亡くなっていることを考えると、死因としてはなおマイナーなものだ。人口動態総覧のデータによると、2020年1~2月の死亡者数は前年より1万人以上も少ない。これはインフルエンザを始めとする感染症が減ったことが最大の要因と思われる。

   隔離政策の最大の効能は、じつは新型コロナウイルス以外の感染症の発生を抑えたことにある。

   人間には寿命があり、すべての人は死ぬ。病気や事故は死期を早めるが、世の中の資源は有限なので、すべての病気や事故から人を助けることはできない。

   たとえば交通事故を考えても、科学の進歩により死亡事故は着実に減少してきたが、交通事故を完全にゼロにすることはできていない。それをするには人が移動することを完全にストップするしかない。そんなことをしたら大混乱が起き、まともな社会生活を送れなくなることは明白だが、じつは今、コロナ対策で政府が我々に要求しているのはそういう類のことである。

   日本は今までのところコロナ禍を、うまくしのいできた。一億を超える国民が狭い所に密集して住み、高齢化比率が世界一で、独裁国家のような強権的な管理体制を敷くことができず、中国の隣にあり欧米諸国より早くからコロナが入ってきて...... という条件下でも、コロナによる死者・重症者数は累計で数百人の単位に抑えられている。数万人の死者を出している米国やイタリアやフランス、英国などとは対照的だ。

   日本でコロナの被害が、なぜこんなに少ないのか。その原因はよくわかっていないが、国民としては結果オーライであれば、理由はどうでもいい。

   一方で、コロナ対策のために経済が破たんしてはどうしようもない。自殺者の数は、失業者の数と相関があることが知られている。自殺者は2019年に約2万人であり、今年に入っても一日あたり数十人で推移している。つまりコロナの犠牲者より、自殺のほうが圧倒的に多いということであり、今後コロナ対策のために自殺者が増えていくと、本末転倒になってしまう。そして一人の自殺者のウラには、数多くの自殺予備軍がいることを忘れてはならない。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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