2020年2月から3月にかけて大きく下落した世界の株式は、徐々に落ち着きを取り戻しはじめているようです。世界株式の値動きを示す「MSCIACワールド指数」は、3月23日から5月22日までの2か月間で28.1%上昇しています。短い期間で大きく下げた後の上昇であったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が終息したとは言えない状況下での上昇であったためか、「いったん売却したほうがよいか」「再び下がった時に買い直すのはどうか」という売買のタイミングを迷うことは、よくあることではあります。売買のタイミングを計ることをオススメしない2つの理由「高く売って、上がる前に買い戻すことができれば......」そう考える投資家の方は少なくないようです。しかし、次の2つの理由から、売買のタイミングを計ることは得策ではありません。◆理由1「上がる前に買う」は、決して簡単なことではないたとえば、直近の安値となった3月23日は、さまざまな国で外出制限などの非常事態宣言が発表されたころ。多くの市場参加者がパニックになるなか、「いまだ」と投資を決断するのは容易ではなかったはずです。◆理由2大きく上昇する日を逃してしまうと、リターンに大きな影響が出る世界株式は、約20年でおよそ1.4倍と大きなリターンを生み出しています。下の表は、2000年~2020年において、一日当たりの上昇率が大きかった順に上位10日を抽出したものです。そして折れ線グラフの赤色の線は、この10回の上昇時に投資をしていなかった場合のリターンをシミュレーションしたものです。極端な例ですが、約20年間継続して保有した場合(青色の線)と比較し、たった10回の上昇を逃してしまっただけで、リターンに大きな差が生まれてしまうのです。マーケットに居続けなければ、チャンスを逃す!人に「欲」がある限り経済は右肩上がりになる私たちには、もっと豊かに暮らしたいという際限のない欲求があります。さまざまな企業が、私たちの欲求に応えるため、製品やサービスを産み出そうと努力しています。そうした企業活動を集積したものが経済です。だからこそ、私たちに「欲」がある限り経済は右肩上がりになると、ある意味で楽観できるのです。一方で、企業の努力は売り上げや利益として表れ、角度の差こそあれ、株価に反映されていきます。世界の経済成長と世界の株価はリンクしている2019年末時点までのグラフ(上)を見ると、世界の経済成長と世界の株価は、長期で見れば、おもしろいほどリンクしていたことがわかります。つまり、マーケットに長期にわたり、居続けることが大事なのです。これからコロナ・ショックの影響を受けて経済規模が大幅に縮小することは避けられませんが、大切なのは覚悟を持ってマーケットに居続けることです。(日興アセットマネジメントマーケティング部乙部洋輔)
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