2024年 4月 25日 (木)

「職場内クラスター」か! コロナ感染で社員が会社から賃金をもらえる場合、もらえない場合(闘う弁護士先生)

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   自粛ムードが緩み、街に人出が戻ってきました。ただ、そうした中でも東京都は40人、50人を超えるコロナ感染者が出ています。ある人材派遣会社では、「職場クラスター」が発生しました。そこで、改めて「点検」しておきましょう。

   会社で働く人が仕事中に体調を崩し、新型コロナウイルスと判明した場合、企業はどのような対処を講じる必要があるのでしょうか?

   闘う弁護士先生! グラディアトル法律事務所の井上圭章弁護士に聞きました。

  • 家族がコロナに感染……。どうしたらいい?
    家族がコロナに感染……。どうしたらいい?
  • 家族がコロナに感染……。どうしたらいい?

新型コロナの感染者に賃金や休業手当を払う必要はない

闘う弁護士先生

   経済活動の再開で、人の動きが活発になりますから、当然、新型コロナウイルスの感染リスクは高まります。満員電車が、その一つ。「なんだか、カラダがだるい......」と、たとえば会社で訴えた社員が現れたとします。

   そのとき会社は、感染した社員に対して、どのような扱いをするのが妥当なのでしょう。インフルエンザのような扱いで大丈夫なのでしょうか?

   まず、会社としては、感染が発覚した社員の出勤停止命令(自宅待機命令)などの職務命令を出して、2次感染の防止に向けた適切な措置をとることが求められます。さらに、その社員との濃厚接触者がいるか、確認したり、社内の消毒などを行ったりすることも求められるでしょう。

   なお、会社が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、都道府県知事による就業制限を理由に出勤停止にする場合、会社の責任による休業とはいえないため、会社は社員に対して賃金や休業手当を支払う必要はないものと考えられます(労働基準法26条)。

   他方、社員は新型コロナウイルスの感染が明らかとなった場合、速やかに会社に報告し、会社が新たな感染者を出さないような、感染防止措置を取れるよう、協力することが求められます。

   また、新型コロナウイルスへの感染を理由とする欠勤の場合、会社は社員に対して賃金の支払う必要がありません。

   ただし、会社の自主的な判断で社員を休業させる場合や、新型コロナウイルスへの感染が疑われているだけの社員の場合などは、会社は従業員に休業手当を支払う必要があると考えられます。

   なお、健康保険の要件を満たす社員の場合には、傷病手当金の支給のための手続きをすることで傷病手当金を受給できる場合があります。

家族が感染! 賃金を支払ったうえで自宅待機

   社員の家族が新型コロナウイルスに感染してしまった場合、会社はどのように扱う必要があるのでしょう。

   家族がコロナに感染したことが判明した場合、その家族と同居する社員は濃厚接触者に該当する場合があります。

   会社は、社員が濃厚接触者に該当する場合、その社員に対して自宅待機命令を出すなど、2次感染を防ぐために適切な措置を講じることが求められます。

   「濃厚接触者=コロナウイルス感染者」ではないため、在宅勤務命令などでの対応ができる場合、在宅勤務命令を出すことができ、その場合には通常の勤務と同様、賃金を支払う必要があります。

   また、在宅勤務が可能であるにもかかわらず、それをせず、自宅待機とするような場合には、会社は社員に対して、休業手当を支払う必要があります。

   なお当然ながら、社員が有給休暇の取得を申請した場合には、会社はそれに応じる必要があります。




今週の当番弁護士 プロフィール

井上圭章(いのうえ・よしあき)
グラディアトル法律事務所所属
九州国際大学法学部卒業後、京都産業大学法科大学院修了。「労働問題」「男女トラブル」「債権回収」「不動産トラブル」などを得意分野とする。
労働問題に関する相談(https://labor.gladiator.jp/)。


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グラディアトル法律事務所
平均年齢30代前半の若手弁護士の精鋭集団。最新の法律知識やツールを駆使し、それぞれの得意分野を生かしながら、チーム一丸となって問題解決に取り組む。取扱分野は多岐にわたり、特殊な分野を除き、ほぼあらゆる法律問題をカバーしている。
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