2021年 5月 12日 (水)

リモートワークがもたらす日本型経営の崩壊 とはいえ、欧米式も「疲れる」「馴染まず」でどうする?(小田切尚登)

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ノーベル賞、田中耕一さんと中村修二さんの生き方

   日本企業の研究所に勤務する研究員が今までに何人もノーベル賞を取ってきたが、それにもそういう文化的な背景が影響している。たとえば、大学を出ただけで修士号もなくノーベル賞まで取ってしまった田中耕一さん。彼ほどの実績があれば年収が数倍かそれ以上のオファーが殺到してきたと思われるが、彼は今日までずうっと島津製作所で研究を続けている。

   彼はカネのためというよりも、おもしろい研究をするために、あるいは社会のために研究を続けるようにみえる。これはプロというよりもアマチュア的な発想だと思う。彼こそが日本のビジネスパーソンの理想を具現化した存在ではないだろうか。

   こういう態度は、シリコンバレーの億万長者からは理解されないかもしれない。ノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんは「安月給で働かされる日本のサラリーマンはスレイヴ(奴隷)だとアメリカ人から言われた」として米国籍を取得して米国に渡っていった。中村さんは日亜化学との裁判でも高額の和解金を得て、富と名誉の両方を手にした。しかし、じつは田中さんのほうが中村さんよりも幸せかもしれない、と私はひそかに思っている。

   もちろん、日本的経営管理システムにも、いろいろと問題があることは言うまでもない。イノベーションが生まれにくい、女性の活用が進まない、国際化の展開が遅れている、といったことが挙げられる。

   特に昨今は日本経済が停滞ぎみであることが、ネガティブな評価に拍車をかけている。しかし、資源に乏しい東アジアの島国が数十年間世界のトップクラスの経済力を維持してきたことは驚異的なことであり、それを可能にした日本的経営は高く評価されるべきであろう。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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