【コロナに勝つ!ニッポンの会社】ローカライズ進むコワーキングスペース 都市ではマッチング狙い異業種が参入

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   コロナ禍の長期化気配が強まるなか、コワーキングスペースの開設ラッシュの波が、ディープなエリアのローカルタウンに及んだり、また都市の中では異業種の参入を招くなどの誘い水になっているようだ。

   新型コロナウイルスの感染拡大で加速したテレワークが後押ししている。

  • 島根県出雲市のコーヒー店、「完全個室」のコワーキングスペースを設けた。
    島根県出雲市のコーヒー店、「完全個室」のコワーキングスペースを設けた。
  • 島根県出雲市のコーヒー店、「完全個室」のコワーキングスペースを設けた。

「オトナキチコーヒー」がオープン、誹謗中傷を避ける狙い

   島根県出雲市の名所、出雲大社の表参道、神門通りで縁結び事業や喫茶店を経営する株式会社まるこは、市内の出雲市役所に近いところに2020年9月29日、「完全個室のコワーキングスペース」を備えたコーヒー店「オトナキチコーヒー」をオープンする。

   島根県では8月、高校で新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生。関連の感染を合わせ感染者数は100人を超える規模に発展した。同店によると、県内では感染者に向けた誹謗中傷があり、「人と人との距離が近くて良い反面、田舎の悪い面が露呈した。田舎では感染することよりも、誹謗中傷を受けるのではないかという怖さがある」という。

   そこで同店では、感染予防に加えて、感染を疑われて受ける誹謗中傷を避ける目的から、「完全個室のコワーキングスペース」を備えたコーヒー店の設置を計画。地域でもテレワークで働く人が増えたことを受けて、個室のほか、遊牧民のゲルをイメージしたテントスタイルの商談ルームと、ハンモックでくつろげる空間など3つのセクションを用意した。

コワーキングスペースで町を活性化

感染予防のためのアクリル板も導入
感染予防のためのアクリル板も導入

   東京都内を中心に大阪や広島などでもコワーキングスペース事業を展開する株式会社いいオフィス(東京都台東区)は、宮崎県都農町で、「まちづくり」を担うスタートアップ企業の株式会社イツノマと提携して、コワーキングスペース「いいオフィス都農by YARD1927」を、2020年9月19日にオープンした。

   都農町は人口約1万人で、試算では2045年に6000人を割る見込み。高齢化率は40%近くで、町の支えである農業は後継者不足という、全国の地方市町村が共通で抱える課題に直面している。

   株式会社イツノマは、そうした都農町で、新しい社会・経済モデルを創造して課題解決に向き合いたいと今年1月にスタートした。

   その後の新型コロナウイルスの感染拡大防止策の中で、「地方創生」「地方移住」などがキーワードとなり、町では受け皿づくりに動き出しており、今回のコワーキングスペースもその一つ。「いいオフィス都農by YARD1927」は、ワークスペースとしてだけでなく、町民らが集まり町の未来を語り、考えるための場でもあるという。

   株式会社イツノマでは、旅行・ワーケーション先としての訪問を呼び掛けている。

「仕事着」から「仕事場」をビジネスに

「洋服の青山」店舗にシェアオフィスを併設
「洋服の青山」店舗にシェアオフィスを併設

   「洋服の青山」で知られる青山商事株式会社(広島県福山市)は、新たにシェアオフィス事業「BeSmart(ビー・スマート)」を開業し、その1号店を、2020年10月8日に、東京都千代田区神田三崎にオープンする。

   1号店の「BeSmart水道橋店」は、「洋服の青山」(水道橋東口店)の店舗スペースを活用。オープン席や防音設備を備えた個室、静かに集中して仕事ができるクワイエットルームのほか、複数名での打ち合わせやリモート会議にも対応する会議室(防音設備・大型ディスプレイ完備)など、多様なスペースを用意している。

   「BeSmart水道橋店」は、「洋服の青山」のスペースを5割縮小して出店。「BeSmart」の店内に設置するテーブルの一部には、「リフモ」というスーツを再利用した素材を使用。スーツは下取りサービスで引き取ったもので、シェアオフィス事業では環境配慮したことをアピールしている。

   ウィズコロナでテレワークが浸透するなか、青山商事では、オフィス以外の働く場所への需要が高まると予想。ビジネスウェア専門店として「仕事着」を販売してきた同社だが、働き方の多様化に対応していくため、時代に応じたシェアオフィス事業で、ビジネスパーソンに向け「仕事場」を提供していくことにした。

姉妹サイト