2024年 4月 26日 (金)

【きょうの格言】やっぱり「好きなことを仕事にする」のが最適解(丸ノ内ミカ)

   みなさん、こんにちは。丸ノ内ミカです。

   「好きなことを仕事にしよう」というのは、もはやあらゆるところで言い尽くされていて、食傷ぎみに思われる読者の方も多いのではないでしょうか。

   頭ではわかっていても、

「好きなことを仕事にできる人などごくわずか」
「いつまでも夢みたいなことを言うのは恥ずかしい」
「そもそも、肝心の"好きなこと"がわからないから、追い詰められているようで苦しくなる」

など、さまざまな反応があります。

  • 得意な英語を生かそうと思ったけれど……(写真はイメージ)
    得意な英語を生かそうと思ったけれど……(写真はイメージ)
  • 得意な英語を生かそうと思ったけれど……(写真はイメージ)

「今やれることをやれば良い」ではダメなのか?

   私も「好きなことを仕事にしよう」という言葉に対しては、「仕事はご縁の部分も大きいので、必ずしも好きなことでなくても、今やれることをやれば良いのではないか」と思っていました。

   しかし、丸ノ内サバイバー女子会のメンバー、A佳さんのお話をうかがって、「好きなことを仕事にしよう」というのは、甘い考えから出たフワフワした言葉ではなく、意外にも、苦労の果てにたどり着いた真実の言葉のように思えたのです。

   A佳さんが就職したのは、まだバブル崩壊後の不況の影響が色濃く残る1990年代後半。

「運良くそこそこの会社に就職できたんです。でもあの時代って、長引く不況のせいで、私たち若手のあいだで、価値観の変化が起きてたと思うんです。友達と集まるたびに、『良い会社に入るのが良い人生ってわけではないよね』って盛り上がって、会社を数年で辞めるのがちょっとしたブームになってたんです。そんななか、一番親しかった友達が会社を辞めて、ワーキングホリデーで海外に行ったんです。それを見て、良いなあと思ってしまって。あまり深い考えもないまま、私も28歳で会社を辞めたんです」

   友達に影響を受けて会社を辞めてしまったA佳さん。その後ワーキングホリデーでオーストラリアに行ったものの、期待していたような劇的な出来事はなく、結局ホリデーはホリデーで終わってしまったと言います。

「海外に行けば何かあるかも、って思ってしまったんですね。でも実際には何もなかった」

得意の英語だったけど、上には上がいて......

   オーストラリアから帰国したA佳さんは、その後証券会社に再就職します。まだ30歳と若かったことと、以前の勤務先が生保業界だったこともあって、正社員登用制度の付いた「紹介派遣」として再就職し、半年後には予定どおりの正社員になりました。

   若い頃にいったん会社を辞めて自分探しをしても、それに見切りをつけたらまた戻って正社員になる。A佳さんのケースは、一見理想的に見えました。しかし、A佳さんのいう「本当の地獄」はここからだったと言います。

「私がブラブラ海外に行って自分探しをしているあいだに、会社を辞めずに仕事をし続けた同年齢の人たちは、年次でいうと8~9年目くらいになっていて、それなりの仕事を任されていたんです。
でも、私がさせてもらえるのは補助業務ばかり。それに大きな会社ほど、中途には厳しいんですね。配属先の部署でステップアップしようにも、補助業務しかやっていないので、昇進につながる評価はなかなか付けてもらえないんです」

   業を煮やしたA佳さんは、得意な英語を生かそうと、グローバル部門の部署を希望して異動。しかし、そこでエース級の仕事をしていた人たちは、入社以降のキャリアも、そもそもの英語力も、A佳さんが太刀打ちできないような人たちばかり。やはりここでも、昇進や抜擢に結びつくような仕事は任せてもらえず、顧客に提供する英文レポートのスペルのミスチェックをしていたと言います。

「やはり甘くないな、と。自業自得なんですけど、若い頃に安易に会社を辞めて作ってしまったブランクが、今となって重くのしかかってきたんですね」

   そうこうしているうちに30代も後半となり、焦りを感じたA佳さんが配属先の上司に相談したところ、「ここから一発逆転を狙うには、営業で数字をあげるしかないよって言われて(笑)」もちろん、営業未経験のA佳さんが法人営業を任せてもらえるはずもなく、個人営業の部署に配属されました。

「会社での最後の悪あがきでしたね......」

「好き」を味方に努力する

   会社の中でステップアップしようと、証券商品の知識を頭に叩き込むなど、必死に勉強して頑張り続けるA佳さん。でも壁は厚く、途方に暮れていました。

   そんななか、A佳さんは原点に帰ります。「証券商品の勉強をしながら思ったんです。これほど努力するなら、せめて好きなことで努力したい」、と。

   それに気づいたA佳さんは、原点である好きな英語を仕事にしようと思い、英語塾のフランチャイズ経営を思い立ちました。若い頃に、後先考えずに会社を辞めてしまった苦い経験から、今回は時間をかけてフランチャイズ経営について調べ、有給休暇を取るなどして実際に英語塾で仕事をさせてもらいました。

   そして1年後。A佳さんは貯めたお金で英語塾のフランチャイズ権を買い、高齢のために引退した人の既存教室を引き継ぎ、会社を辞めました。今はそこを英語塾兼自宅にして、子どもたちや、旅行の英語を覚えたいシニア層の方々に英語を教えているそうです。

「私の英語力は、大手企業のグローバル部門では使い物にならなかったのですが、やっぱり英語が好きだし、皆さんに英語の楽しさを教えたいなと思ったんです。すごく遠回りしましたけど、今は英語を教える仕事が本当に楽しくて幸せです。初めて海外旅行したシニアの方が、『英語が通じました!』って、メッセージをくださったり。収入は会社員時代の7割くらいに減りましたが、生活はできていますし、少しの貯金もできています」

   A佳さんは、笑顔でこう言います。

「私もいろいろと遠回りしましたけど、一周まわって、今はやっぱり『好きなことを仕事にしたほうが良いよ』って、自信を持って言えます。好きなことなら、努力が楽しいんです」

   もう、おわかりですね。

   どのような仕事に就いても、努力は必要です。再就職してからのA佳さんは、会社の中でステップアップするために、さまざまな努力をしました。そうした苦労した経験を経て、たどり着いた「好きなことを仕事にしたほうが良い」という言葉を、あなたはどのように感じますか?

   【きょうの格言】やっぱり「好きなことを仕事にする」のが最適解。

   それでは、また次回。(丸ノ内ミカ)

丸ノ内ミカ(まるのうち・みか)
丸ノ内ミカ(まるのうち・みか)
大学卒業後、金融系大手企業に就職してから、一貫して事務職やっています。趣味は野球観戦。シーズン中の週末は、ほぼどこかの球場に出没。40代後半のアラフィフ。
丸ノ内ミカのブログ(アメブロ)https://ameblo.jp/taurusmika
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