コロナショックが終わる日とその後に続く「構造的問題」を予言

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   2020年に入って、突然、新型コロナウイルスの脅威が世界中に広がった。外出自粛や休業要請。経済活動が止まり、多くの人の気分はいまだ鬱々としたままだ。

   いつまで続くのか? いつ終わるのか? そのことがわかればもっと前向きになれるに違いない。本書「日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方」(PHP研究所)は、その思いに応えてくれる一冊。

   経済の未来予測の専門家である著者によれば、2020年代は「日本が壊れる10年間」になる可能性を秘めており、コロナショックはその序章。本書ではコロナ禍に続く問題についても予言し、その対策を合わせて提示している。

  • 2021年に延期されたオリンピックを待つ国立競技場
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経済の未来予測の専門家として注目

   著者の鈴木貴博さんは、経営戦略コンサルタント。東京大学工学部で物理工学を学び、1986年に米国のコンサルティングファーム、ボストンコンサルティンググループに就職。同社のトレーニングで未来予想の手法を叩き込まれ、研修でさまざまな考え方を教えられた。2003年に独立し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事している。

   近年は未来予測とイノベーション戦略の専門家として知られ、数々の経済専門誌のウエブサイトなどで連載記事を執筆。月間100万PVを超えるなど、さらに注目を集めている。

   コロナ禍のいま、しばしば「誰にも予想できなかった」などといわれるが、著者ら未来予測を仕事の一部にしている経営戦略の専門家にとっては、まったくのサプライズではなかった。

   2019年5月、世界的な投資ファンド、カーライルグループの共同創業者、デビッド・ルーベンスタイン氏が来日した際に「金融市場にとってサプライズな事態とは何か」を問われて、「軍事衝突リスク」「政府債務問題」と並べて「世界的なパンデミック」と答えている。

   投資や経営戦略の面では、パンデミックもシナリオの一つとして備えがあり、著者によれば、カーライルはいまでは「このタイミングに日本を地震災害が襲ったらどうなるか、ぐらいまで考えているはず」という。

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