2024年 4月 24日 (水)

繁盛チェーン店の仕掛け人が明かすコロナ禍の飲食店サバイバルのヒント

   「飲食店は外観の第一印象で繁盛するかしないかがほぼ決まる」という。

   本書「コロナ危機を生き残る飲食店の秘密 ~チェーン店デザイン日本一の設計士が教える『ダサカッコイイ』の法則~」は、20年以上にわたり飲食チェーン店の設計デザインに携わり、その法則を見出した著書による、飲食店向けサバイバル読本。コロナ対策をにらみながら「繁盛店を生み出すデザインの秘密を詰め込んだ」という一冊。

「コロナ危機を生き残る飲食店の秘密~チェーン店デザイン日本一の設計士が教える『ダサカッコイイ』の法則~」(大西良典著)扶桑社
  • コロナで営業自粛に追い込まれた地下飲食街。飲食店のサバイバルにはデザインがキーポイントという
    コロナで営業自粛に追い込まれた地下飲食街。飲食店のサバイバルにはデザインがキーポイントという
  • コロナで営業自粛に追い込まれた地下飲食街。飲食店のサバイバルにはデザインがキーポイントという

「プラス」の感情と「マイナスの感情」のせめぎ合い

   「外観の第一印象で繁盛するかしないかがほぼ決まる」という法則について、著者の大西良典さんは、こう説明する。

   人は店をパッと見た時に脳内で無意識に「プラスの感情」と「マイナスの感情」を抱くという。前者は「よし、この店で......」考えること。後者は「この店はやめておこう」と、そこで食事をしようという考えを減退させるような思いだ。多くの人に共通する感情が「プラス」なら繁盛店となり、逆に「マイナス」ならば客足は伸びず生き残れないことになる。

「これを、繁盛店とつぶれる店の『プラス/マイナスの法則』と、私は呼んでいます」

という。

   大西良典さんは、外食チェーン店を中心とした設計会社を経営。これまで20年以上にわたり、国内外のチェーン店の設計デザインを手がけてきた。「その実績は日本一と自負」している。1978年、神戸市生まれ。高校卒業後に神戸のゼネコンに入社し21歳で建築士になった「職人出身の建築デザイナー」。24歳のときに、ゼンショーの「なか卯」の店舗システム部にヘッドハンティングされ、2010年に独立し、OLL DESIGN(オルデザイン)株式会社を兵庫県芦屋市に設立した。

   チェーン店企業の主な顧客として、牛丼店の「すき家」のゼンショーホールディングス(HD)のほか、吉野家HD、丸亀製麺などのトリドールHD、「モスバーガー」のモスフードビジネス、「フレッシュネスバーガー」のフレッシュネスを抱える。ほとんどの人が、大西さんが手がけたいずれかの店を訪れことがあるに違いない。吉野家では、メディアでしばしばとりあげられた「黒い吉野家」を手がけたことでも知られる。

   設計デザインにあたっては、店舗の前で10時間近くも人の流れを観察して下調べをすることもあるそうで、多くのチェーンを手がけるごとにそうした調査を繰り返し「プラス/マイナスの法則」を見つけ出した。

   飲食店をめぐって「プラス」と「マイナス」に分かれる決定的な違いは、店の「デザイン」にある。看板や外観、内装、客席、厨房により構成される店全体の空間デザインに「繁盛店になるか否かを決定づける重要なポイントがある」というのが、著者の主張だ。そのことを本書で明らかにしようと考えたのは、そこに気づいていない人が多いという実情を知ったからだ。

「ダサカッコイイ」デザイン

   では、そんな著者が標榜するデザインは、「ダサカッコイイ」だという。「ダサカッコイイ」とは、見た目は「カッコイイ」のだが、マーケティングや機能性、コストパフォーマンスなど多角的に高度な働きを求めるため「ダサ」さは妥協しなくてはならないということ。

   著者独特の手法によって、ありえないほどの悪条件の店舗を劇的によみがえらせたケースなど、さまざまな事例を詳しく紹介しながら、デザインによる「集客の秘策」を紹介している。

   デザインによる集客策の一つとして、牛丼チェーン店「吉野家」のオレンジ色の看板があるという。それも繁盛店の法則が生かされたものだ。それにあやかり本書の装丁にも使われている。

   では、デザインを変えると繁盛店になり、コロナ危機でも生き残れるのか? この問いかけに著者はこう述べる。

「その答えは本書に余すところなく書かれています」

「コロナ危機を生き残る飲食店の秘密~チェーン店デザイン日本一の設計士が教える『ダサカッコイイ』の法則~」
大西良典著
扶桑社
税別1400円

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