2021年 9月 18日 (土)

日本マクドナルドはDXでコロナのダメージをリカバリーした!

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   新型コロナウイルスに対応するニューノーマルな社会に対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)が世界的に注目されている。しかし、DX=単純なデジタル化ととらえた結果、成功事例が少ないのが実情だ。

   本書「マーケティング視点のDX」は、デジタル化に加えて顧客視点とデータ活用、つまりマーケティングの視点が必要だと説いている。DXに必要な考え方や富士フイルム、ウォルマートなど国内外の成功事例を多数紹介している。さまざまなフレームワークとワークシートも付いているので、すぐに活用できそうだ。

「マーケティング視点のDX」(江端浩人著)日経BP
  • 日本マクドナルドがDXで成功したワケは?
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デジタル化とDXは違う

   2020年9月に菅政権が誕生。デジタル庁の設立に言及したことが追い風になり、DXが旬のキーワードになってきた。

   DXをひと言で言えば、デジタル技術を活用したビジネスの大変革のことだ。大量のデータを解析し、デジタル技術をフル活用することで、既存の商品ラインアップ、組織体制、ビジネスモデルを変革して顧客への提供価値を変えること、変え続けることを指す。

   デジタル化しただけではDXには当たらない。単なるシステムの導入や業務効率化にとどまり、新たな価値の創出まで至らないからだ。

   本書はクルマを例に、以下のように説明している。カーナビや、センサーで衝突を回避する安全技術など、クルマは多数のデジタル技術を搭載して利便性、安全性が高まった。

   DX的とも言える進化の方向性として、一つは運転そのものから解放される自動運転。もう一つはクルマをつくって売るモデルから、カーシェアリングなど利用に応じて対価を受け取るモデルへの転換が挙げられる。その発展形がMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス=マース)だ。

   国土交通省はMaaSの定義を、「ICTを活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を一つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念」としている。

   フィンランドのヘルシンキでは、3つの料金プランで市内の交通機関を横断的に利用できるMaaSアプリが稼働。アプリで現在地から目的地までのルートを検索、座席を予約、そして決済まで完結する。2016年の導入から1年で公共交通機関の利用割合が48%から74%へ増加。自家用車の利用割合が40%から20%に減ったという。

   日本では伊豆半島を舞台に、JR東日本、東急電鉄、伊豆急、バス事業者などが参加し、2019年4月から今年3月まで期間限定で何度か実証実験が行われた。

   交通渋滞、環境汚染、エネルギー消費の増加という社会課題の解決にMaaSは貢献することになるだろう。ほかのモノ、サービスでも同様の進化が起こると見られる。

日本マクドナルドの取り組み

   コロナ禍でDXに注目が集まるなか、日本マクドナルドなど、先んじてDXの取り組みを進めた企業で、コロナ禍のダメージをリカバリーしたケースがあった。

   同社は、新型コロナウイルスの感染拡大前から店内飲食以外の販売ルートであるテークアウトやデリバリーを増やすための施策を打ってきた。スマホアプリから事前注文・決済するモバイルオーダー(1月28日から全国導入)とオンラインデリバリーサービスの「ウーバーイーツ」の活用だ。

   4月29日から5月14日にかけて、全国の全店舗(約2900)で店内客席の利用を終日中止したにもかかわらず、5月の既存店売上高は前年比15.2%と伸びた。客数は減ったが、客単価が大幅に伸び、差し引き大幅増になったのだ。

   著者の江端浩人さんは、江端浩人事務所代表、エバーパークLLC代表、iU 情報経営イノベーション専門職大学教授。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの操業を経て、日本コカ・コーラでiマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長などを歴任。

   江端さんは、日本企業のDX出遅れはマーケティング視点の欠如だと指摘する。また、諸外国と比べて日本はアナログで生きることが割と快適であるため、DXの必要性を感じにくく、出遅れやすいと説明している。

「アナログで十分」の壁を打ち破ったコロナ禍

   その「アナログで十分」の壁を打ち破ったのがコロナ禍だ。非接触を前提として、働き方と暮らし方の両面でニューノーマルを実現していくために、DXは「待ったなし」だという。

   成功した企業とその取り組みを以下に挙げている。

(1) 富士フイルム......「Digitize or Die」、フィルム市場喪失を乗り越え成長
(2) ウォルマート......モバイル注文で買い物をラクに、Amazonに負けない小売り
(3) フェンダー......ギターレッスンアプリを提供、挫折を防ぎLTV(顧客生涯価値)向上
(4) Zoomビデオ・コミュニケーションズ......安定性と豊富な背景画像で国内でもWeb会議の定番に
(5) SOELU......ジム通いの時間・手間を解消、コロナ追い風に受講者急増
(6) ウルトラチョップ......Facebookに「LABO」開設、コロナ禍でも利益維持
(7) Showcase Gig......スマホで事前注文、非接触&省人化のリード役
(8) シェアメディカル......聴診器に200年ぶりの革新、デジタル聴診デバイスを開発
(9) タニタ......DX思考でトランスフォーム
(10) サイバーエージェント......広告事業の枠を超え、マーケティングDX支援に乗り出す

   江端さんは、「どうやって変えれば良いか」はIT目線で見えてくる。「何を変えればよいか」を把握するには、マーケット視点に立って、利用者や消費者側から考える必要があるという。

「マーケティング視点のDX」
江端浩人著
発行元 日経BP
発売元 日経BPマーケティング
1600円(税別)

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