今回選んだ銘柄は、東証1部上場の「エーアイテイー」(9381)だ。銘柄選定方法として、スクリーニングを用いることにした。業種は、今まであまり注目していなかった「倉庫・運輸関連会社」に絞り、前年度比の売上高変化率、経常利益変化率がともに5%以上の銘柄を探した。数社の候補が出てきたが、「フォワーダー」という説明が気になったため、エーアイテイーを選ぶことにした。現在成長中!来期は増収増益予想「フォワーダー」とは、貨物利用運送業者のことであり、自ら輸送手段を所有・運行せず、顧客の需要に応じて船会社などの実運送業者のサービスを利用して、国際貨物輸送を行う業者を指す。エーアイテイーは、主に日本-中国間の海上輸送において、フォワーダーとしての業務や通関税業務を行う企業である。具体的には、中国の工場から衣料や日用雑貨を日本に輸入して卸したり販売したりするメーカーや小売り業者に対して、物流改革を提案するとともにさまざまな周辺業務を請け負っている。出典:エーアイテイーのホームページエーアイテイーの業績の推移と、大まかな財務状況をみてみたい。ここ10年間の業績は、売上高、営業利益ともに上昇傾向にある。また、キャッシュフロー(CF)は、営業CF・フリーCFともにプラスを維持している。業務内容の特性から、基本的には無借金経営で、財務CFは継続してマイナスだ。次は、直近の決算と業績予想について検討する。10月12日に発表された2021年2月期第2四半期の決算によると、売上高は前年同期と比べて3.9%減の215億8100万円だが、営業利益は19.2%増の8億8300万円、四半期純利益は11.3%増の7億1600万円と伸長した。業績予想も発表しており、売上高は前年同期比1.1%増の455億円、営業利益は12.0%増、当期純利益は7.1%増と増収増益を予想している。これにより、業績が成長中の企業であることがわかる。日新運輸の完全子会社化もチャートに不安次に、エーアイテイーのさらなる成長の要因となりそうな、2点を紹介したい。一つは、エーアイテイーが販売費及び一般管理費(販管費)の縮小に成功していることである。2021年2月期第2四半期の販管費は、前年同期比10.1%減と大きく減少した。要因は、テレワークの導入などによる人件費の削減や、WEB面談などの活用による営業活動費の削減が挙げられている。この傾向は、2021年2月期第1四半期の決算にも表れており、改善しているといえる。二つめは、2020年2月期に行われた、株式交換による日新運輸の完全子会社化と、日立物流との資本業務提携である。日新運輸は、エーアイテイーと同じ日中間輸送を得意とするフォワーダー企業であり、いわば同業他社との株式交換だった。日新運輸が保有する海外検品・検針工場や国内物流センターを、エーアイテイーの一貫輸送体制に組み込むことで、さらなる営業の強化が期待できよう。また、国内大手のフォワーダーである日立物流との資本業務提携により、アパレル・雑貨物流のプラットフォーム化による収益基盤の強化や、IT・LT(LogisticsTechnology)を活用した最先端物流への取り組み強化といったことを可能にした。最後に、財務指標を確認する。ROE(自己資本利益率)は11.6%、ROA(総資産利益率)は6.5%とやや高めの水準。また、PER(株価収益率)は16.5倍、PBR(株価純資産倍率)は2.0倍で、どちらかというと割安の数値となっている。しかし、チャートをみてみると、年初来高値を付けた9月末から下落し続けている。よって、今が買い時とはいえないだろう。今回は株の購入を見送り、今後底打ちしたとみられるタイミングがあれば、その時に買いたい。エーアイテイー(9381)株式の取得は見送り。年初来高値(2020年9月29日) 1173円年初来安値(2020年3月13日) 529円直近の株価(2020年10月30日) 1001円【株式取引ルール】月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。1年間のトータルで損益を競います。プロフィール一橋大学 オレオ法学部2年。投資サークルに所属しており、試行錯誤をしながら企業分析を勉強中。株式投資は未経験だが、この企業分析バトルを機に少しずつ始めたいと考えている。趣味は音楽鑑賞やピアノを弾くこと。群馬県出身。「シューカツに使える企業分析バトルカブ大学対抗戦Season2」を通じて、財務分析と意思決定の精度を少しでも向上させることができるように、頑張ります。
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