2021年 9月 23日 (木)

テレワークの善し悪し 大企業と中小企業のコミュニケーションの違いとは?(大関暁夫)

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   早いもので気がつけば今年(2020年)も残すところ1か月弱です。今年はとにかくコロナに振り回された1年と言って差し支えないでしょう。そして、企業経営もさまざまな面で大きな変革を求められた1年でありました。

   その最たるものがテレワークへの対応でしょう。緊急対応で始まったテレワークは、必ずしもオフィスに集まらなくとも仕事はできる、会社は回る、という思わぬ成功体験が社会に共有され、今やテレワークは常識的な就業スタイルのひとつとして定着した感が強くあります。

  • テレワークは広がっているけど……
    テレワークは広がっているけど……
  • テレワークは広がっているけど……

「ジョブ型管理」への不安

   春のテレワークがスタートした当初に、経営者の方々から噴出した疑問や不安は、主に管理の問題でした。

「自宅でちゃんと仕事をしているのかどうかを、いかに管理するのか」
「ジョブ型管理は、中小企業でもできるのか」

など......。

   まずは勤務場所が変更になるという物理的な変化への対応で、経営者の頭は一杯になったわけなのです。ただ、実際にはまずはテレワーク実施に動くことが優先であり、細かいことは後回しにしてやってみようというノリで、多くの企業がテレワーク取り組みに入っていった、といった感じではなかったでしょうか。

   私の周囲では、自粛期間中に全社員の勤務時間総計の80%以上がテレワーク勤務になったという企業も少なくなかったように思いますが、感染拡大が一度ひと段落した秋には、その比率が半分以下にまで戻ったという印象です。比率を戻した経営者に、その理由をたずねてみると、テレワーク導入前に疑問点や不安点としてあげていた管理の問題ではなく、むしろまったく別の懸念が出ていたようなのです。何人かの経営者が口にしていたのは、リアル・コミュニケーションの欠如が及ぼすマイナス効果、という新たな懸念でした。

「社員同士が同じ空気を吸って仕事をしていないことが、こんなにも職場を機械的にしてしまうものなのかと、ある意味恐怖に近いものを感じた」
「わざわざオンラインでつながらないとちょっとしたコミュニケーションすらとれないことにより、社内ムードがつくれないというマイナスを実感した」
「シフト制で出勤日とテレワーク日を決めて3か月ほどやってみたが、職場が常にまばらでトータルのコミュニケーションが減り開店休業感から、皆の活力欠如を感じた」

   テレワークをコロナ対応で初めて導入してみたという点以外の共通点はなく、業界も異なる中小企業の社長の方々から、このように類似した話が聞かれたのです。

社長がオンラインで参加する会議

   そして、判を押したように彼らが口にしたのが、「オンラインは確かに便利だが、リアル対面でのコミュニケーションが減ることのマイナス面は意識する必要がある」ということでした。

   その理由を、とある中小企業の社長が象徴的な言葉で表現してくれました。それは、

「システマティックに動く大企業ならいいかもしれないが、我々中堅・中小企業は社長と社員、社員同士の人と人との人肌のつながりがあって、はじめて組織や運営が成り立つのだと思う。オンライン中心の業務では、その人肌感は補えないと感じた」

というものでした。

   この言葉に、10年ほど前に同じような表現を聞いたことを思い出しました。中国に製造拠点を持っている中堅IT機器メーカーの役員を務めたときの話です。ある時、原則月1回開催の経営会議が経営環境の激変を受けて、月2回開催に変更になりました。

   この会議は通常、同社のT社長以下全役員が顔を突き合わせ、本社で行われていたのですが、月2回の開催になり、社長が中国出張の折には現地工場の会議室から、当時の最新鋭オンラインシステムで参加することになったのです。画質も音声も問題なく、社長出張時には、社長の顔が大写しになったディスプレイを社長の席に置いて会議が進められることになりました。

   何回か中国とオンラインで結んでの開催をした後、T社長が本社で会議に出席した折に役員の一人が、「やはり社長とは、こうして同じ会議室で顔を突き合わせて議論ができる方がいいですね」と言ったのです。すると社長は、その言葉に促されるように「まったくだ。今後私が中国に出張中は、会議は開催しないことにしょう」と宣言したのです。出席者一同、社長がオンライン参加する会議にどことなく違和感をもっていたのでしょう、社長の申し出にひとつの異論もなく、オンライン併用会議はあっけなく廃止されました。

オンライン会議を「無機質」に感じた社長の決断

   その会議の終了後、T社長に直接「やっぱり会議は顔を突き合わせてするものですね」と水を向けると、社長は堰を切ったように語り始めました。

「コミュニケーションというのは、お互いの体温を感じてはじめてコミュニケーションなのだと思います。私は中国で画面の中の皆さんと話をしていて、これは何か違うぞと感じていました。こんな無機質な会社を作った覚えはないとも思いました。いずれはこれがあたり前の時代が来るのかもしれないのですが、私はそんな会社の社長はやりたくないなと。中小企業の強みは、『人肌コミュニケーション』にこそあるのだと信じて疑っていません」

   約10年の時を経て巡り合わせの産物とはいえ、テレワークが当たり前になりつつある昨今、T社長が言っていた「いずれはそれがあたり前の時代が来るのかもしれない」の「いずれ」が今なのかもしれません。

   しかしながら、少なくともオンライン会議で感じたT社長の考えと同じことを感じている中小企業経営者が今も複数いるということは、中堅・中小企業にとって「人肌コミュニケーション」の大切さは変わっていないのではないかとも思うのです。中小企業経営者にとって、テレワークの導入が社内の面前コミュニケーションの重要性見直しの一助になるなら、それはまた新たなテレワーク効果と言えるのかもしれません。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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