これまで企業が対面で実施していた社員の研修について、新型コロナウイルスの感染拡大後の実施状況を聞いたところ、「一部をオンラインに切り替え」が53.0%、「すべてオンラインで実施」が20.4%と、73.4%で研修のオンライン化が進んでいることがわかった。「月刊総務」が2020年12月22日に発表した。また、対面からオンラインに切り替えて「成功した」企業が77.1%、「失敗した」が22.9%と、おおむね結果に満足していることがわかった。成功しても、6割近くが対面研修に戻したい対面研修からオンラインに切り替えて「成功した」企業が挙げた理由には、「参加者が増えた」「開催時期、地区の違いによる内容の差異が少なくなった」「参加者の反応がよかった」「研修先までの移動時間、費用が不要になった」「画面共有やブレイクアウトセッションを使用して、リアルと比べても遜色のない運営ができている」との声があった。一方、失敗の理由では、「担当部署が、講義内容、講師、受講者の講義中の思考や雰囲気を確認しづらい」「効果の確認が難しい」「新入社員同士、先輩とのコミュニケーション不足」「パソコン画面は開いているが、本人が別のことを行っている」「教える側のスキル不足」が挙がった。現在オンラインで実施している研修を、対面に戻せるなら戻したいか聞いたところ、「はい」(戻したい)と答えた企業が59.0%、「いいえ」が41.0%という結果になった。「戻したい」理由として、「理解度など、表情やしぐさから把握しやすい」「参加者同士の交流の場でもあり、その後のモチベーションにも影響すると考えるため」「オンラインの方が時間やコストがかかる」「対面研修の方が、緊張感をもって受講できる」「ディスカッションやグループワークが必要なものは集合研修がよい」などが挙げられた。経費削減、移動時間の効率化のメリット大きい約6割の「戻したい」派がいる一方で、「オンラインでうまくいっているものは、継続したい」「オンラインである程度の効果が期待できる。研修によってはオンラインのほうが参加者から見て効率的」「双方使い分けて実施したい。オンライン研修では経費の削減や移動時間の効率化などのメリットも大きく、今後見極めていきたい」と、オンライン研修を評価する意見もあった。さらに、2020年度の研修の実施回数が2019年度と変化はあるか聞いたところ、「やや減った」が33.6%、「とても減った」が20.4%と、半数以上の企業で20年度は研修の回数が減っていることがわかった=下グラフ参照。「月刊総務」では、「オンラインで実施している研修を対面に戻したいとの回答が6割近く集まったのは、そもそもオンライン研修の体制がまだ完全に整っておらず、継続的に安定して実施できる土台がまだ構築されていない現状もあるかもしれない。今回の調査結果にもあるように、オンラインによるメリットがあることは確か。新型コロナウイルスが落ち着いてからも、一概に元の研修体制に戻すのではなく、オンラインとオフラインそれぞれのメリットとデメリットを精査し、生産性の高い方法を選択することが求められる」とまとめている。なお、調査は12月に全国の総務担当者を対象に実施。113人から回答を得た。
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